「細見谷渓畔林と十方山林道」(細見谷林道)2006年版
十方山林道(細見谷林道)すなわち緑資源幹線林道 大朝・鹿野線 戸河内・吉和区間(二軒小屋・吉和西工事区間)環境保全に関する意見書・要望書集
- 環境保全調査検討委員会の目的は何だったのか -
学者・一般市民はこう考える
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はじめに
2005年11月28日(月)第9回検討委員会は、緑資源機構の報告書(案)を承認した。これによって、十方山林道(細見谷林道)の拡幅舗装化工事着手に事実上のゴーサインが出たことになる。
ところで、委員会は全員一致で結審したわけではなかった。座長を含む委員5名の内2名が付帯意見を提出している。細見谷の自然を正しく評価するためには、まだまだ調査データが不足している、というのだ。2005年12月18日(日)中国新聞社説でも、この最終結論に対して厳しい批評を加えている。まだ結論を出すべき段階ではなかったと言わざるを得ない。
これに対して、市民団体では新たな署名活動を開始した。渓畔林を含む細見谷地域全域を”西中国山地国定公園 特別保護地区”へ指定することを求めて!!(最終集約日、2006年03月31日)。特別保護地区で林道工事はできない。
さらに、環境保護団体・広島フィールドミュージアム(金井塚務会長)による巡回写真展が2006年01月09日からスタートする。ツキノワグマなど細見谷渓畔林の動植物を紹介するためである。”林道計画に揺れる生き物たちの今を知ってほしい”から(中国新聞2006年01月07日付)
<十方山>と恐羅漢山~五里山で出来る谷間を、太田川源流の一つである細見谷川が流れている。両岸には、ブナ、トチ、ミズナラなどで構成される自然豊かな渓畔林(水辺林)が発達しており、これを細見谷渓畔林という。
その渓畔林を貫いて走る<十方山林道、jipposan>(既設・未舗装)を拡幅舗装化する工事が始まろうとしている。工事をすることに何の意味があるのか。問題意識の高まりの中で、この林道は<細見谷林道>とも呼ばれるようになっている。
大規模林道化工事の是非を検討するため、独立行政法人”緑資源機構”による「環境保全調査検討委員会」が設置された。その目的は、いわゆる<十方山林道(細見谷林道)>すなわち<緑資源幹線林道大朝・鹿野線戸河内・吉和区間(二軒小屋・吉和西工事区間)>14.4kmを、拡幅舗装化(一部新設、一部舗装化のみ)する「(工事に)伴う影響の予測・評価及び保全措置を専門的、学術的な見地から検討する」ことにあった。
第一回目の委員会は、2004年06月04日(金)に開かれ、座長に中村慎吾・比婆科学教育振興会事務局長を選んでいる。そして、事務局(緑資源機構側)の提出した環境保全調査報告書(素案)について検討を開始した。
当初は、2004年8月末までに3回程度の委員会を開き、結論(2005年度工事着工のGOサイン)を出す予定であったようだ。しかし、環境委で異論が続出し、第2回目以降の開催は遅れ気味となった。結局、第3回目の委員会は、2004年11月に開催された。しかし、最終結論を出すまでには至らなかった。
なお、初回委員会は非公開であったが、第2回以降公開となっている。そして、第3回委員会終了後、一般から意見書提出(提出期間2004年12月02日~12月22日)を求める措置が取られ、合計32件の意見書が提出された。
2005年02月05日(土)には、意見聴取会が開かれ、一般市民にも陳述の機会が与えられた。これに対して市民の側から、意見書(32件)の公開や意見聴取会の議事録公開等を求める要望、あるいは、中村慎吾座長の議事運営方法等に対して抗議がなされた。
さらに、第4回検討委員会(2005年02月28日)傍聴者から、同委員会議題に意見聴取(2月5日開催)が入っていないことに疑問を呈する公開質問状が提出された(2月5日意見聴取の目的と扱いについて)。この件に関しては、機構側の回答を不服として合計3度のやり取りが行われた。
第6回検討委員会傍聴人有志によって、「ツキノワグマについての公開要望書」(2005年06月04日付)が提出されている。その中で、要望2として「金井塚務先生を、ツキノワグマの問題の参考人として、次回検討委員会に招聘されるよう要望します」としている。しかし、第7回委員会以降、最終回(第9回)まで「西中国山地のツキノワグマ研究の第一人者」が委員会に招聘されることは遂になかった。
「森と水と土を考える会」は、十方山林道問題に初期のころから一貫して取り組んでいる。そして<(自前で)現地調査を続け、情報提供・質問・要望を繰り返し行っている。2005年には、特に<林道新設部分>について調査を行った。
そこには豊富な樹種の巨樹が林立しており、林床では貴重種(絶滅危惧種)が数多く見られた。林道の新設によって、これらの植物が大きなダメージを受けることは確実であろう。林道新設部分の問題点は、地盤が脆弱なことによる崩落の危険性ばかりではなかったのだ。
林道新設部分においても、植生に与える影響が注目されるようになってきた。しかしながら、大規模林道化のもう一つの大きな問題点が”地盤の脆弱さ”にある、ということは間違いない。それにもかかわらず、緑資源機構ではきちんとした地質調査は行っておらず、また、環境保全検討委員会に地質の専門家は一人も加わっていない。
宮本・古川の両名は、自らの調査結果「細見谷地域十方山林道周辺の地質」(日本地質学会発表および林野庁提出済)を踏まえて、道路改変への評価を行い、また後日、検討委員会に地質の専門家を加えること等の要望も行った。
両名の出した結論は、”現林道に新設、拡幅、舗装を行わず、地滑りなどの危険箇所に安全対策を施して利用することが、道路の安定性の確保及びコスト面から考えて最善である。” というものであった。しかし、機構側は、“地表地質調査については、本委員会の検討対象とはしていません。”という。
そして遂に、2005年11月28日(月)第9回委員会において、緑資源機構の報告書(案)が承認された。すなわち、幹線林道の工事着手に事実上のゴーサインが出たことになる。委員会ははたしてその職責を果たしたといえるのか。
ところで、委員会は全員一致で結審した訳ではなかった。座長を含む委員5名の内2名が意見書を添付している。細見谷の自然を正しく評価するためには、まだまだ調査データが不足している、 というのだ。
その最終検討委員会に臨んで、委員の一人が委員会の調査精度やモニタリング等に関する見解を示した文書を各委員および事務局に配布し、声明を出そうとしたところ座長による発言の許可が得られなかったそうだ。そこで、資料を回収した上でやむなく口頭で発言をしたという。
2005年12月18日(日)中国新聞社説でも、この最終結論に対して厳しい批評を加えている。 まだ結論を出すべき段階ではなかったと言わざるを得ない。
環境保全調査検討委員会や行政に対して、学者、一般市民からこれまでに様々な意見書、要望書あるいは質問状が提出されている(下記リスト参照)。責任者の方から、それらの書類をまとめて公開閲覧できる方法の模索と、場所の提供を求められたので、 少しばかり工夫をしてみた。(PDFファイル形式)
2005年12月14日現在
資料1
2003.03.23、細見谷渓畔林(西中国山地国定公園)を縦貫する大規模林道事業の中止および同渓畔林の保全措置を求める要望書(日本生態学会 第50回大会決議)
要望書提出先(提出日):廿日市市(5/8)、環境大臣・農林水産大臣(5/12)、広島県・緑資源公団(5/28)
なお、本要望書提出等に関する経過報告(2003年分)については
広島フィールドミュージアム>>細見谷渓畔林保全活動記録の中にくわしい
http://www8.ocn.ne.jp/~miyajima/keika.htm#nolink
2004.11.28、環境保全調査検討委員各位に対する公開質問状
(金井塚務・安渓遊地・河野昭一・中根周歩・福田宏)
2004.12.07、上記に対する回答
(環境保全調査検討委員一同)
この公開質問状は、第3回検討委員会(2004年11月09日)傍聴、あるいは議事録閲覧によって生じた疑問を受けて、学者グループから提出されたものである。検討委員会の回答に対する提出者からのコメントおよび一般市民の声については
広島フィールドミュージアム>>細見谷渓畔林保全活動記録の中にくわしい
http://www8.ocn.ne.jp/~miyajima/shitumonn.htm
2005.08.04、農林水産大臣・環境大臣宛陳情書(および補足説明)
(原戸・高木・安渓・金井塚)
資料2
2004.12.12、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(原戸祥次郎)
特定植物群落調査書添付
2004.12.12、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(金井塚務)
2004.12.12、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(網本えり子)
2004.12.12、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(Ku氏)
2004.12.12、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(Su氏)
2004.12.20、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(U氏)
2004.12.21、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(Na氏)
2004.12.21、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(堀啓子)
2004.12.12、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書(Ya氏)
2005.01.28、環境保全調査報告書(素案)に関する意見書
(日本生態学会細見谷アフターケアー委員長豊原源太郎)
初回委員会は非公開であったが、第2回以降公開となっている。そして、第3回委員会終了後、一般から意見書提出(提出期間2004年12月02日~12月22日)を求める措置が取られ、合計32件の意見書が提出された。
資料未入手分:
2004.12.12、意見書(Su氏)
資料3
2005.02.05、意見聴取会における意見陳述(原戸祥次郎)
2005.02.05、意見聴取会における意見陳述(網本えり子)
2005.02.05、意見聴取会における意見陳述(堀啓子)
2005.02.22、意見書の公開、意見聴取会の議事録公開等を求めて(要望書)
緑資源機構理事長伴次雄・検討委員会座長中村慎吾宛
(高木・網本・木村幸子・路子)
2005.02.27、中村慎吾座長の議事運営方法等に対して(抗議書)
林野庁長官・緑資源機構理事長・座長中村慎吾宛
(加藤彰紀・原戸祥次郎)
2005年02月05日(土)には、意見聴取会が開かれ、一般市民にも陳述の機会が与えられた。これに対して市民の側から、意見書(32件)の公開や意見聴取会の議事録公開等を求める要望、あるいは、中村慎吾座長の議事運営方法等に対して抗議がなされた。 なお、2月22日要望書については、6月11日文書(5/30付けのお礼と要望)で、改めて具体的な回答を求める要望が再度行われた(資料4)。
資料4
2005.03.06、2月5日意見聴取の目的と扱いについて(公開質問状1)
(宛先:緑資源機構理事長伴次雄・委員会座長中村慎吾・同委員)
2005.04.14、質問状1に対する回答
(回答者:環境保全検討委員会委員・緑資源機構森林業務部長安藤伸博)
2005.04.21、同・公開質問状2
(宛先:委員会座長中村慎吾、緑資源機構理事長伴次雄)
2005.05.02、質問状2に対する回答
(回答者:委員会座長中村慎吾・緑資源機構森林業務部長安藤伸博)
2005.05.11、同・公開質問状3
(宛先:緑資源機構理事長伴次雄、委員会座長中村慎吾)
2005.05.30、質問状3に対する回答
(回答者:委員会座長中村慎吾・緑資源機構森林業務部長安藤伸博)
公開質問状1、2、3提出者は、高木・網本・木村幸子・路子・原戸・堀の6名連記
2005.06.11、緑資源機構理事長伴次雄宛(5/30付けのお礼と要望)
(高木・網本・木村幸子・路子)
2005.07.01、上記に対する回答
(回答者:委員会座長中村慎吾・緑資源機構森林業務部長安藤伸博)
第4回検討委員会(2005年02月28日)傍聴者から、同委員会議題に意見聴取(2月5日開催)が入っていないことに疑問を呈する公開質問状が提出された(2月5日意見聴取の目的と扱いについて)。この件に関しては、機構側の回答を不服として合計3度のやり取りが行われた。さらにその後改めて、2月22日要望書について具体的な回答を求める要望が再度行われた。
資料5
2005.06.04、緑資源機構理事長伴次雄宛(ツキノワグマ公開要望書)
(高木・網本・木村路子・原戸・松本・水島・宮本・山住)
2005.07.01、上記に対する回答
(委員会座長中村慎吾・緑資源機構森林業務部長安藤伸博)
第6回検討委員会傍聴人有志によって、「ツキノワグマについての公開要望書」(2005年06月04日付)が提出されている。その中で、要望2として「金井塚務先生を、ツキノワグマの問題の参考人として、次回検討委員会に招聘されるよう要望します」としている。しかし、第7回委員会以降、最終回(第9回)まで「西中国山地のツキノワグマ研究の第一人者」が委員会に招聘されることは遂になかった。
資料6
2005.05.13、林野庁長官・緑資源機構・座長中村慎吾(要望書)(原戸祥次郎)2005.06.13、緑資源機構・座長中村慎吾・各委員(再検討)(堀啓子)
2005.06.30、林野庁長官・緑資源機構・座長中村慎吾(要望書)(原戸祥次郎)
2005.07.29、6月30日要望書への回答
(回答者:委員会座長中村慎吾・緑資源機構森林業務部長安藤伸博)
2005.07.09、緑資源機構・座長中村慎吾・各委員(植物調査への疑問)(堀啓子)
2005.10.03、緑資源機構・座長中村慎吾・各委員(再検討の要望)
添付資料:十方山林道の植物・台風14号の影響の写真
(原戸祥次郎・堀啓子)
2005.11.21、緑資源機構・座長中村慎吾・各委員(参考資料提出)(堀啓子)
「森と水と土を考える会」は、十方山林道問題に初期の頃から一貫して取り組んでいる。そして(自前で)現地調査を続け、情報提供・質問・要望を繰り返し行っている。2005年には、特に<林道新設部分>について調査を行った。
そこには豊富な樹種の巨樹が林立しており、林床では貴重種(絶滅危惧種)が数多く見られた。林道の新設によって、これらの植物が大きなダメージを受けることは確実であろう。林道新設部分の問題点は、地盤が脆弱なことによる崩落の危険性ばかりではなかったのだ。
資料7
2004.12.20、緑資源機構の地質調査報告書に対する意見書
及び、上記意見書の添付資料「細見谷地域十方山林道周辺の地質」
(宮本隆実・古川耕三)
2005.07.05、林野庁長官・緑資源機構・座長中村慎吾宛(地質調査意見書)
(宮本隆実・古川耕三)
2005.07.29、上記に対する回答
(回答者:委員会座長中村慎吾・緑資源機構森林業務部長安藤伸博)
林道新設部分においても、植生に与える影響が注目されるようになってきた。しかしながら、大規模林道化のもう一つの大きな問題点が”地盤の脆弱さ”にある、ということは間違いない。それにもかかわらず、緑資源機構ではきちんとした地質調査は行っておらず、また、環境保全検討委員会に地質の専門家は一人も加わっていない。
宮本・古川の両名は、自らの調査結果「細見谷地域十方山林道周辺の地質」(日本地質学会発表および林野庁提出済)を踏まえて、道路改変への評価を行い、また後日、検討委員会に地質の専門家を加えること等の要望も行った。
両名の出した結論は、”現林道に新設、拡幅、舗装を行わず、地滑りなどの危険箇所に安全対策を施して利用することが、道路の安定性の確保及びコスト面から考えて最善である。” というものであった。しかし、機構側は、“地表地質調査については、本委員会の検討対象とはしていません。”という。
なお、意見書添付資料中の図表等は下記のとおりである。
(PDFファイルからのリンク不調のため、ここで別記及びリンクする)
No.0001
:図-1-1、細見谷地域とその周辺に発達するNE-SW系断層群
No.0002
:図-2-1、細見谷地域の地質図
No.0003
:図-2-2、谷を埋める土石流堆積物、図-2-3、F1断層の露頭
No.0004
:図-2-4、NE-SW系断層の露頭
No.0005
:図-3-1、空中写真判読による細見谷地域における地すべり分布
No.0006
:図-4-1、①の初期的変形地形の下底部の地すべり粘土層
:図-4-2、①の初期的変形地形直下のチャートの弛み、低角度断層が発達
:図-4-3、②の初期的変形地形の下底部の地すべり粘土層
No.0007
:図-4-4、2号橋より南側約800m区間において空中写真判読と地表調査によって明らかにされた地すべり地形と初期的変形地形
No.0008
:図-4-5、③-Bの地すべり側壁の凹地形と側壁の変状
:図-4-6、③-Bの地すべり内部の二次地すべりの滑落崖
No.0009
:図-4-7、③-Bの地すべり内の道路擁壁に見られる開口亀裂
:図-4-8、③-Bの地すべり内の道路擁壁に見られる亀裂
:図-4-9、④の初期的変形地形内の道路擁壁に見られる亀裂
No.0010
:図-4-10、⑤の地すべり内の道路擁壁に見られる亀裂
:図-4-11、⑤の地すべりの側壁に沿った変状部に見られる亀裂
No.0011
:図-4-12、⑥の地すべり内の道路擁壁に見られる亀裂
:図-4-13、⑥の地すべりの全体の地形区分
No.0012
:図-4-14、⑥の地すべりの全体の露頭写真
:図-4-15、⑥の地すべりのBの領域の前面の滑落崖
No.0013
:図-4-16、⑥の地すべりのCの領域に見られる滑り面
:図-4-17、⑥の地すべりのAの領域内の道路擁壁に見られる亀裂
No.0014
:図-4-18、⑥の地すべりのCの領域の側壁に沿った変状部に見られる亀裂
:図-4-19、⑥の地すべりのAの領域の側壁に沿った変状部に見られる亀裂
No.0015
:図-4-20、⑦の地すべりの基盤と下底粘土層:粘土層の上から湧水あり
:図-4-21、⑦の地すべり土塊中の粘土層と道路面上の水溜り
No.0016
:図-4-22、⑧の地すべりの基盤と下底粘土層
:図-4-23、⑧の地すべりの道路面上の水溜り
No.0017
:図-5-1、地形の変状が見られる地点
(緑資源公団調査結果と本調査結果による)
添付資料1.「細見谷と十方山林道2002」
添付資料2.十方山林道の植物一覧表・工事予定区間植生地図
(調査:森と水と土を考える会 調査期間:2002.6.1~2005.11.30)
添付資料3.2004年度イオン環境財団助成による
「細見谷渓畔林周辺におけるツキノワグマ生態調査報告書」
(調査者:金井塚務、杉島洋)
資料8
添付資料4.2005.11.28、委員会特別資料(波田善夫)
添付資料5.2005.11.28、委員会特別資料(竹門康弘、森生枝)
そして遂に、2005年11月28日(月)第9回委員会において、緑資源機構の報告書(案)が承認された。すなわち、幹線林道の工事着手に事実上のゴーサインが出たことになる。委員会ははたしてその職責を果たしたといえるのか。
ところで、委員会は全員一致で結審した訳ではなかった。座長を含む委員5名の内2名が意見書を添付している。細見谷の自然を正しく評価するためには、まだまだ調査データが不足している、というのだ。2005年12月18日(日)中国新聞社説でも、この 最終結論に対して厳しい批評を加えている。まだ結論を出すべき段階ではなかったと言わざるを得ない。
さて上記添付資料4は、その最終検討委員会に臨んで、波田善夫委員が用意していた文書である。波田委員は、この文書を各委員および事務局に配布し声明を出そうとしたところ、座長による発言の許可が得られなかったそうだ。そこで、資料を回収した上でやむなく口頭で発言をしたという。(添付資料5は、添付資料4に添付された資料である)
広島フィールドミュージアム>>細見谷渓畔林保全活動記録では、その全文を掲載した上で、当日の委員会傍聴者としてそのやり取りを詳しく記載している。
http://www8.ocn.ne.jp/~miyajima/9boutyou.htm
また全文掲載にあたっては“(この配布資料は)波田委員から個人資料となったので配布は自由ですとの許可を得ています”と断り書きをしている。
本「意見書・要望書集」においても、その趣旨に沿って<資料8>として利用させていただくことにします。
以上