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2012年04月15日

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2012年04月15日(日)、ブナ森やぶこぎクラブ(会員外参加)

焼杉山に幻の三角点を求めて、残雪の広島・島根県境尾根を行く
水越峠手前取付~旧羅漢山手前~焼杉山
(出発帰着:二軒小屋)

焼杉山三等三角点

〈写真左〉焼杉山三等三角点
(白杭の向かって左手に頭を出す)

追記:下記Web発見
焼杉山、ブナの巨樹と三角点。:YMD特設ブログ所 – BIGLOBEウェブリブログ
s.webry.info/sp/nrck-ymd.at.webry.info/201604/article_2.html
焼杉山三角点発見(2016年4月25日13時11分(平成28))

このページの目次です

はじめに

西村保夫さん(ぶな森会)のお誘いを受けて、ここ数年、年1回のペースで広島県境の尾根を歩いている。今回は、そのシリーズ第5回目である。

はじめに

集合場所の二軒小屋に、約束の時刻である8時30分までには、昨年と同じメンバー5名が全員そろい出発の準備を完了する。

今日も前回(宮島:20120401MYJ)に引き続いて、GPSロガー(HOLUX M-241)を使ってみた。うまく行っていたはずだった。しかし、データの保存に失敗してしまった。どうやら、最後の詰めで操作方法を誤ったらしい。

最近、GPS(GARMIN Geko 201)を使うようになり、行動記録をノートに書くことをあまりしなくなっていた。今日も同様にほとんどアナログの記録を取っていない。

結局、今日の記録は、デジカメ(Exif)情報のみとなってしまった。したがって、事前にデジカメの時刻合わせを行っていたとは言うものの、上記コースタイムはかなりあいまいである。

今日の焼杉山から細見谷(十方山林道)への下山ルートには、今思い出してもよく分からない部分がある。それをはっきりとさせることができなくてほんとうに残念である。

今日のコース&コースタイム

二軒小屋8:30-十方山登山口9:12、9:13-恐羅漢山取付き9:15、9:35-標高1240m台10:46、10:55-広島・島根県境尾根合流11:05-ケンノジキビレ11:24-1201m11:47-焼杉山三角点12:00、13:10-大ブナ(4m30㎝)13:21-ブナ13:29-十方山林道14:22、14:35-恐羅漢山取付き15:19-(ショートカット、十方山登山口通らず)-二軒小屋15:56

総合計約6時間(三角点での昼食などを除く)

焼杉山で幻の三角点発見す

焼杉山の三角点は、果たして現在も存在するのか?
幾人もの人たちが挑戦して果たせなかった夢を、今日私たちは達成することができた。

ところで、冒頭の写真に写っている小さな横断幕を作ってきたのは、Tさんである。三角点をめでたく発見した場合「◯」と、そうでない場合「✕」の二通りを用意するという気合の入れ方である。

道理で・・・。焼杉山山頂部で白杭を見つけるなり、Tさんは手持ちの薄い木板(30㎝四角くらい)を持ち出し、勢いよく残雪(深さ約30㎝くらい)を掘り始める。そして、次には、まわりの雪を携帯のこぎりで小さなブロックに切り分けながら、探索の範囲を広げていった。

それでも三角点を確認することはできず、昼食のため一旦作業を中断する。そしてその後、Iさんも加わり作業を再開する。

雪を取り除く範囲を広げながら、地面をストックで突いて行く。すると、明らかに固いものに突き当たったような音がする場所がある。ついに幻の三角点発見か?

そのあたりの雪を全部取り除いてみると、四角い石の塊(標石)が地面から少しだけ頭を出している。そしてその上には、青みを残したままのササがからみついている。

そのササを刈り取ると、三角点の南面(ほぼ真南を向いている)に「三等」(三角点)の文字をはっきりと認めることができる。焼杉山三角点(三等)で間違いない。

焼杉山・三角点(1225.2m)の位置を詳しく検討してみる

焼杉山の三角点は、焼杉山の山頂部にあることは確かである。しかし、焼杉山のピークではなく、ピークから少し下がった位置にあった。

焼杉山三角点の位置について、国土地理院地形図(二万五千分1)からは、どのように読み取ることができるであろうか。詳しく検討してみよう。

まず、焼杉山のなだらかな山頂部をみると、1220m等高線が丸く閉じている。その形を見ると、南北に細長く延びており、北側部分の方が少し膨らんでいる。通常はこのような場合、その膨らんだ部分にピークがあるとみて間違いない。(大ブナのあたり)

画像の説明

〈写真〉焼杉山山頂部の大ブナ
周囲には青ザサが残っている。なお、残雪量は周辺部よりも少ない。

改めて焼杉山三角点の位置を地形図で確認すると、1220m等高線の北側の膨らみよりは、ほんの少し南側へ行った位置にある。つまり、この三角点は、北側にあるピークよりもほんの少し標高が低い位置にあると推測できる。

今まで多くの人が、1220m等高線で囲まれた北側部分にあるピークで三角点を探していたようである。そして、積雪期(あるいは残雪期)には、その大ブナの近くに三角点が埋もれているものとして、実際に確認することなくやり過ごしてきたようでもある。しかし、そこに三角点は存在しない。

さて、地形図をもう一度詳しくみてみると、焼杉山1220m等高線で囲まれた部分の中央部を、広島・島根県境尾根が南北に走っている。そして、三角点はそのラインからほんの少しだけ、広島県側に外れているようにもみえる。(後日注:三角点の所在地は島根県益田市)

焼杉山はヤブ山で、雪の積もった時期以外は歩くのも困難とされている。そうした中で、夏場に尾根を追っていく場合には、三角点の位置を示す白杭さえも、大藪の中に埋もれて発見するのがむつかしかったとも考えられる。

参考山行記紹介

以下で、三つの山行記(厳冬期、無雪期そして残雪期)を簡単に紹介してみることにしょう。

1)厳冬期

参考:日本山岳会創立100周年国内登山(中央分水嶺踏査)

2005年2月13日、天候晴れ
恐羅漢山~旧羅漢山~焼杉山(本地点より引き返す)~恐羅漢山(出発帰着:牛小屋高原)
この周辺は無雪期には藪がひどく歩行困難。従って積雪期に入山してスキー又はワカンで踏査した。参加者2名、総歩行時間(休憩時間を除く)6時間20分

焼杉山三角点の位置と保存状態
(東経132度7分24.7秒、北緯34度34分9.0秒)
積雪3mのため未確認

山行報告書から抜粋(Web作者にて整理)

上記の分水嶺踏査では、GPSを携行していたものと思われる。その数値が、日本測地系(日本測地系TOKYO)のものか、あるいは世界測地系(日本測地系2000(Japanese Geodetic Datum2000))のものかどうかは不明である。

日本測地系と世界測地系の誤差について、焼杉山のある二万五千分1地形図「野入」で検討してみた。

平成11年6月1日(1999年)発行の地形図「野入」で、図郭の四隅には世界測地系(平成14年4月1日から適用)の経緯度数値が併記されている。(以下、カッコ内世界測地系である)

左上:東経132度0分(131度59分51秒1)、北緯34度35分(34度35分11秒6)
右上:東経132度7分30秒(132度7分21秒)、北緯34度35分(34度35分11秒6)
左下:東経132度0分(131度59分51秒1)、北緯34度30分(34度30分11秒6)
右下:東経132度7分30秒(132度7分21秒)、北緯34度30分(34度30分11秒6)

これをみると、当地域においては、日本測地系に対して世界測地系の数値は、経度で-8秒9~-9秒0、緯度で+11秒6の誤差があることが分かる。

参考までに、焼杉山三等三角点・村杉(むらすぎ)の緯度経度(世界測地系)は以下のとおりである。 ― 後述

北緯 34°34′28″.5057(山岳会表示から、約+19.5秒)
東経132°07′07″.2719(山岳会表示から、約-17.4秒)

日本測地系に置き換えるならば、焼杉山三角点の経緯度(概略)は以下のようになる。

北緯34度34分16秒9(山岳会表示から、約+7.9秒)
東経132度7分16秒3(山岳会表示から、約-8.4秒)

日本山岳会の数値は、世界測地系あるいは日本測地系の数値とも異なっている。かなりの誤差を含んでいるものと思われる。

一般財団法人 日本デジタル道路地図協会Web
解説1世界測地系と日本測地系の違い
(2015/11/30参照)

「日本測地系に対して世界測地系の数値が、経度で-5秒~-18秒程度、緯度で+7秒~+17秒程度、文字通り全国にわたって一様な傾向で滑らかに変化します」(引用)。

2)無雪期

参考:yamaarukiさん(2004/05/08山行記)

頂上の尾根は先月登った京ツカ山の頂上と同じように背丈を越える笹で埋まっている。登る人がないのか目印ひとつ見かけなかった。山頂で1時間余り三角点を探したが見つからない。頂上付近の稜線上を何度も往復して見たのだが発見できなかった。時間切れで下山した。次回の楽しみにしよう。

山歩きの履歴/「山歩きのページ」”Kさん”より引用

“K”さんが歩いた当時、もしかして、白杭はきちんと立っていなかったのではないだろうか。点の記(下記参照)によれば、焼杉山の三角点における最も新しい調査は、2009年(平成21)秋に行われている。今から2年半前のことである。今日、割と新しく見えた白杭は、その時設置されたものかもしれない。

3)残雪期

参考:yamanonunya.web.fc2.comさん(2006/05/03山行記)

天候、晴れ、残雪多し
二軒小屋~(十方山林道)~ケンノジ谷~焼杉山
例年遅くまで残雪が残っている所ですが、今年は特に多い。
ケンノジ谷に入り、谷が二分する所で真ん中の尾根を登りました。杉林の中は、たいした藪こぎも無く、簡単に登れます。
登りきった所から、北の方向にGPS頼りに三角点があると思われる所にたどり着きました。
そこには、すでに目印のテープがありました。
ヤブの中を這いずり回るようにして三角点を探してみましたが
見つかりませんでした。残念!
笹が背丈ほどもあるので、バンザイをして十方山方面を写しました。
下山は残雪をつたって、谷筋を下る。
地図

「焼杉山/ヤブ山情報」の項から抜粋(Web作者にて整理)

「山歩きのページ」や「中央分水嶺踏査」から1年少したったころの山行記である。ただし、ここでも実際に三角点を確認はできていない。そして、白杭も見ていないようである。

点の記を閲覧する(Web上にて)

国土地理院は、地球上の位置の基準を定めるために、国家基準点(三角点や水準点)を整備(国土交通省国土地理院ホームページより)している。

点の記とは、国家基準点(三角点、水準点)ごとに、点名、所在地、設置年月日、選点者、観測者、そこに至る順路と略図等を記載したもの(剱岳点の記コーナー/日本測量協会ホームページより)である。

点の記は、Web上の基準点成果閲覧サービス(国土地理院)で見ることができる。

基準点成果閲覧サービス(国土地理院)を立ち上げる
ユーザー登録(国土地理院の個人認証システム変更あり、2011年10月31日より)
基準点検索入口→同意する(検索画面へ)→ログイン
索引図(全国)から、広島→三段峡(野入)を選択する
焼杉山の三角点1225.2mが表示される縮尺に変更する
配点図>>「基準点数」の中の「表示」をクリックする
画面上にある三角点(複数個の場合あり)の位置が、地図上に別途表示される
配点図>>「地図操作」の中の「選択」をクリックする
別途表示された三角点の位置でダブルクリックする
基準点詳細が表示される
その中に「点の記」(PDFファイル形式)があれば、ファイルを開いて閲覧できる

焼杉山三等三角点(点名・村杉)

焼杉山の三角点について、「点の記」で確認すると以下のようになっている。

基準点コード:TR35132608901
等級種別:三等三角点
冠字選点番号:知第15号
基準点名:村杉(むらすぎ)

北緯 34°34′28″.5057
東経132°07′07″.2719

選点(及び設置)の日付は、明治28年9月26日(同10月9日)となっている。所在地(平成の合併後)は、島根県益田市匹見町匹見ロ336番7である。そして、最も新しい基準点現況調査が行われたのは、平成21(2009)年11月7日である(翌年2月10日に調製)。

改めて点の記をみると、三角点の位置を示す見取り図が添付されている。その図には、三角点を囲む数本の等高線(単位不明)と、三角点から数mの距離にある立ち木3本(具体的な樹木名表記あり)の位置関係が示されている。そこに大ブナは当然含まれていない。

点の記の見取り図を見れば、GPSがなくても、ピンポイントで三角点の位置を確認できるかもしれない。地形図(二万五千分1)で三角点のおおまかな位置を推測しておき、その上でさらに点の記を見ることができれば、鬼に金棒であろう。

三角点の情報提供者:広島県山岳連盟の登山教室の方々

焼杉山の三角点について、今日の私たちは、単純に山頂部のピークを中心に探し回ればよいとしか考えていなかった。

もちろん、各種の資料を読み込み「地形図」は持参していた。しかし、平坦な山頂部で、事前に三角点のおおよその位置を推測できていたわけではない。三角点がピークにないことには、現地で初めて気が付いた。また、最終的な位置決めに、GPSを駆使できたわけではない。

ましてや、「点の記」に関しては全くの迂闊であった。Web上で、過去に何度か点の記を見たことはある(その当時から要ユーザー登録)。しかし、今回は全く意識していなかった。山行記をまとめる過程で初めて、基準点成果閲覧サービス(国土地理院)の仕組みが変わったことを知ったくらいである。

さて、今日の私たちに幸運をもたらしてくれたのは、今日山中で出会った広島県山岳連盟の登山教室の方々である。

彼らは、前日御境(国道488号)から五里山系に取付いて、一泊しながら県境尾根を旧羅漢山~恐羅漢山に向けて登っている途中であった。したがって、すでに、私たちが今から目指している焼杉山を通ってきている。

それに対して、私たちは旧羅漢山手前から県境尾根に乗り、ケンノジキビレに向けて下っていた。焼杉山はその先にある。

では、山中での出会いを再現してみよう。

前方から人声が聞こえてきた。こんな雪山で・・・もしかして山岳連盟の・・・と思う間もなく、前方の背丈を没するササ藪の中から、リーダーのAさんをはじめ男女数名のパーティが現われた。やっぱり・・・

実は、Aさんとこちらのメンバーが顔見知りで、昨日今日のおおまかな行動予定を把握していたのである。Aさんとは私も面識があり、芸北山中でも二度ほどお会いしたことがある。

しばし歓談、別れ際に「焼杉山の三角点を見つけておいたから」との情報がもたらされた。

だからこそ、私たちは焼杉山のだだっ広い山頂部に着くなり、周囲を見渡して「赤テープ」を探し周り、ピークからやや下がった位置に白杭を見つけることができたのである。

もっとも、彼らは雪を掘り返して三角点を実際に見つける努力はしていなかった。そこで、私たちが雪を取り除いて三角点を確認した。

今日のコースを振り返る

今日の目標である焼杉山は、広島・島根県境尾根にある。この付近の県境尾根は、両県の最高峰である恐羅漢山1346.4mから旧羅漢山1334mを経て焼杉山1225.2mあたりまで、ほぼ南向きに連なっている。そして、この尾根の広島県側の谷を走っているのが十方山林道である。

今日はまず、十方山林道の起点である二軒小屋(標高約800m)から林道を南西の方向に進む。すぐに雪を踏む状態となる。やがて、左に十方山登山口(シシガ谷コース、標高960m台)を分けて右に振る。ほんの少し先で、水越峠(標高990m台)よりも手前の右手に、旧羅漢山~恐羅漢山への取付き口がある(標高960m台)。

取付きからすぐに、右手の小さな沢を渡る。そして、そのまま尾根筋を北西に登る。夏道のルートである。旧羅漢山1334mの手前にある小コブ1271mより少し下(標高1250m台)まで登り、左に振って広島・島根県境尾根に合流する。

そのまま県境尾根を南西~南向きに行き、ケンノジキビレ(1160m台)~1201mのゆるやかなアップダウンをこなして、焼杉山1225.2mに至る。

画像の説明

〈写真〉1201mから焼杉山へ向けて、一旦やや下る

焼杉山では、幻の三角点を発見する。

画像の説明

〈写真〉焼杉山三角点付近から、細見谷の向こうに、内黒峠~十方山縦走路を見る

 参考:写真の画面左、手前尾根の向こうに1166m(内黒峠はその後ろに隠れる)、その右前に彦八の頭1511.9m、画面中央やや左手前に大きく丸子頭1236.3m。画面右端は十方山1326m、その左奥に奥三ツ倉1320m台がある。なお、十方山の三角点1318.9mは、十方山1326mの右奥に見えているのか?

さて、今日の下山コースでは、県境尾根をしばらく南向きに行き、左に振って、細見谷(広島県側)の十方山林道に向けて直接下った(往路下山の予定を変更)。山頂で検討したルートよりも右に振れながら下り、細見谷渓畔林の北東端あたりに降り立つ。途中で大ブナを何本か見た。

画像の説明

〈写真〉山頂直下の大ブナ(胸高周囲4m30㎝)

後は、水越峠(標高990m台)を越えて二軒小屋まで、十方山林道をひたすら歩く。

画像の説明

〈写真〉残雪の十方山林道
芽吹きにはまだ早い

今日は、ほぼ全行程で雪を踏んで歩いた。ところが、春先の雪はかなりゆるんでおり、各人が随所で雪を踏み抜く場面が多数あった。時には膝まで、あるいは片足一本がすっぽり埋まるほど落ち込むこともあった。しかし、幸いなことに誰もけがをすることはなかった。

全員無事で二軒小屋に帰り着き(午後4時ころ)、大いに達成感を味わう。次回は五里山?・・

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