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2005年05月14日

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黒ダキ山(下山林道経由)、往復
初めての黒ダキ山である
(出発帰着:立野キャンプ場)

2005年5月14日(土)、Iさん

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はじめに

2005年5月14日(土)、Iさん
黒ダキ山、往復(下山林道経由)
(出発帰着:立野キャンプ場)

リック関係未調整
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黒ダキ山~(黒ダキ山登山道)~下山林道2004年06月05日、2004年08月28日
下山林道~(黒ダキ山登山道)~黒ダキ山2003年11月23日、2004年01月03日
(各ページ最下段にGPS軌跡あり)

広島市内在住の"Iさん"という方と同行する機会を得て、十方山の南西に位置する黒ダキ山(1084.7m)に登る。我が山行で、家族あるいは親族以外の方と"個人的に"ごいっしょした経験は今まで全くない。今回が初めてのケースである。 (高松山山頂でご一緒になった方と、そのまま福王寺山に登ったことが一度ある)

登山道にはブナの大木が点々とあり楽しめる。驚いたことに、このマイナーと思われる山の頂上にお二人が先着、昼食中であった。ブナが大好きで歩いていらっしゃるとのこと。話をする中で、西中国山地でブナといえば、天杉山、台所原が第一の景観を誇るという。まだ行ったことのない地名をしっかりと頭に刻み込む。

続けて、この黒ダキ山はどの本でも紹介されていないでしょう、という。思わず、最近刊「広島のブナ林」南々社(2005年)に載っていると答えてしまった。今回山行のきっかけとなった(後述)、桑原良敏著「西中国山地」 溪水社(1997年復刻)の"黒ダキ山"の記述と混同してしまったのだ。

「広島のブナ林」に"黒ダキ山"の項はない。さっそく本屋に行かなければと、先に下山された方には申し訳ないことをした。しかし、ブナ好きの方なので、「広島のブナ林」にはきっと満足されることだろう。間違いゴメンナサイ。

さて、"Iさん"(30代後半)は、日本三大岩稜の内、前穂高北尾根と槍ヶ岳北鎌尾根はすでに踏破されているという。特に北鎌尾根を登って、槍ヶ岳山頂で若い娘さんに拍手で迎えられたのは心の勲章だそうだ。残る剱岳八ッ峰は、部分的には踏破経験あり、通して登られるのも時間の問題だろう。

さすがに力強い歩き方だ。出発点からほぼ平坦な林道は難なくついて行けたのだが、支尾根に取り付いてすぐに私が遅れ気味となり、主尾根手前ではほとんどギブアップ状態となってしまった。"ゆっくり行きましょう"とはげまして、引っ張っていただいた"Iさん"には感謝の言葉もない。

最後には、「また機会をつくりますから、いっしょに行きましょう」とまで言っていただいた。人工林の全くない山域で、新しい体験をした一日であった。

今日のコースタイム:
立野キャンプ場(51分)取り付き口(45分)主尾根(約40分?)黒ダキ山
 小計2時間50分(全ての休憩を加える)
仏石往復
 小計34分(仏石休憩5分を含む)
黒ダキ山(27分)支尾根分岐(27分)取り付き口(47分)立野キャンプ場
 小計1時間41分(細見谷川見学分を12分として除く)
総合計5時間24分
 (昼休憩46分以外の時間を全て加える)

立野キャンプ場9:04-右手沢9:32-右手沢9:36-テンガタキ谷9:48-取り付き口9:55、10:00-コブ10:15-休憩10:21-主尾根10:45(休憩)出発時間?-990m台小コブ11:17-1040m台11:27-展望11:30-鞍部11:36-1040m台前コブ11:40-1040m台後コブ11:44-鞍部11:45-小コブ11:51-黒ダキ山11:54、12:40-鞍部12:45-小コブ12:46(登る)-小コブ12:49-仏石12:50、12:55-黒ダキ山13:14、13:21-小コブ13:23-鞍部13:26-1040m台(コブ13:27(登る)-コブ13:29(大峯山をみる)-コブ13:30)(下る下る)-鞍部13:32-1040m台(コブ13:35-コブ13:37-コブ13:39)(下る下る)-鞍部13:44(平らな登り)-小コブ13:46-支尾根分岐13:48-小コブ13:59-取り付き口14:15-細見谷川(堰堤)寄り道14:58、15:07-林道に戻る15:09-立野キャンプ場15:14

下山林道

立野キャンプ場から下山林道(未舗装)に入る。二万五千分1地形図では黒点線で表されている林道で、現在は廃道となっておりかなり荒れている。では、ヒトは通れないかというとそうでもない。しっかりとした踏み跡がありそれに従う。

下山林道は、幅員3m(4トントラック通行可能)の林道として一旦は整備されたもののようである。林道の谷側を擁壁で固めた箇所がある。ガードレール、カーブミラーまで設置してある。

しかし、現在の荒廃ぶりはすさましい。最初のうちこそ轍の跡かなと思われる痕跡が残っていた。しかしすぐに、山側から土砂が崩れ落ちる、岩石が崩れ落ちる、時にはそれらで完全に林道が塞がれた状態となっていたりする。

林道上や崩れ落ちた岩石の上まで木々が生えて成長している。この林道は今、自然に帰ろうとしているところだ。元々何の目的で作ったのか。税金の無駄遣いの典型といったところだろう。

取りつき口

テンガタキ谷(水流豊富)を過ぎると、林道は左に廻り、更に右折する。ここが黒ダキ山への取り付き口となる(推定標高約720m)。登山道は、テンガタキ谷とクロダキ谷にはさまれた支尾根を登り、主尾根990m台の小コブやや南東側に登りつく。そこからさらに、黒ダキ山、仏石を経て、ロクロ谷の落ち口附近で細見谷川に接し、十方山林道の祠に至るという。

営林署の巡回路なのだそうだ。ここから登山道沿いに、営林署によって赤い円筒状のタバコの吸殻入れがいくつも設置してある。最近全部新しいものに取り替えたのだろうか。高さ1m位、全体を赤く塗って白地で営林署等の文字がくっきり書かれている。りっぱな造りのものだ。山火事は絶対に出してほしくない、という強い願いが込められているのだろう。

支尾根(磁北から358度)取り付き口はザレ場である。しかし、細いロープが設置してあり、ありがたく使わせていただく。支尾根を登り始めてしばらくすると、ブナの大木があらわれ始め、すでにバテ気味の私を励ましてくれる。

しかし体がついてゆかない。同行者に助けられ主尾根まで何とか這い上がる。復路の下りで、改めてかなり急な登りだったんだな、と実感した。

主尾根縦走

美しい小潅木の原っぱで疲れをとり、いよいよ主尾根縦走に入る。ミツバツツジ、ガマズミ、そして赤い花はサラサドウダンか。開花の時期は今でよかったのだろうか。 かなり赤みの強い小さな風鈴が、ヤセ尾根の登山道沿いに鈴なりで続いている。(ベニドウダンに訂正)

足元にはイワカガミ、赤色から白色まで様々な色調の個体があるようだ。目の前にウスギョウラク?の白い花。同行者の気遣いによって、今日のハイライトである主尾根縦走を満喫する。 (後日追加、この山域ではすべてオオイワカガミ)

展望の良いところでは、右手に十方山、左手に吉和冠山、羅漢山、そして大峯山まで見える箇所もあった。なお、女鹿平山左奥の、青笹山・板敷山を湯来冠山と取り違えていた。湯来冠山は、大峯山よりもさらに左手の小室井山(縦走路からは見えない)の陰に隠れる。

黒ダキ山は、日本の渓谷100選の一つ、細見谷渓谷の北側の壁を構成する山塊のピークにあたる。この山域全体に植林はまったく行われていない。広葉樹の若葉がまわりを取り囲み、登山道にはブナの大木が点々と続く。ほんとうに気持ちが良い。

仏石

昼食後、仏石まで行ってみることにした。 行くに従いキツツキのドラミングの音が大きくなってくる。仏石のすぐ向こうから聞こえているようだ。さて、仏石とは、高さ数m、一辺2.5m位の四角柱で、その形がおもしろい。

なお、林道取り付き口から黒ダキ山を経て仏石まで、しっかりとした踏み跡がある。迷うほどのこともあるまい。また、仏石から先もかなり踏まれているようだ。十方山林道・祠までの探検は今後の課題として楽しみにとっておくことにしよう。

往路下山

帰り道、テンガタキ谷の水流で顔をあらう。冷たくてきれいな水が気持ちよい。さらに下って、堰堤上部で細見谷川の河原に降りる。ここまで来ると、細見谷川は再び静かな流れを取り戻している。川面に映る若葉が美しい。白い花をつけた大木がある。名前はわからない。堰堤下の向こう岸に見えるのは、キシツツジだろうか。

堰堤から下をのぞくと、魚が泳いでいるのがよく見える。ウグイとヤマメが見えるとは、同行者"Iさん"の話だ。水深数mはあろうかというのに、すばらしい透明度だ。川面には羽化したムシがたくさん飛び交っている。水面に落ちると魚たちの餌になるそうだ。

桑原良敏著「西中国山地」

私と今日の同行者"Iさん"を結びつけたのは、桑原良敏著「西中国山地」溪水社(1997年復刻)だ。この本は、初版(1982年刊)に引き続いて復刻版も「幻の本」になりつつあり、広島市内の古書店では、定価3500円(税別)の5倍の値付けをしているところもある。

今回、たまたま私が所蔵していた同書2冊のうち一冊を、アマゾンで売りに出して、"Iさん"に買っていただいた。通常の取引ならば、本の受け渡し(郵送)をすればそれでお仕舞いだ。しかし、アマゾンを介した手続きに不都合があり、メールの交換をしているうちに、"Iさん"と私の西中国山地に対する思いの波長が合い、今回同行させていただくことになったのだ。

桑原良敏さん(広島女学院大学名誉教授)、2001年12月04日死去、75歳
(桑原良敏著「西中国山地」は)<地元の古老から聞き書きした谷々の名を刻んだ山の概念図、山名の由来を古文書などから考察した地名考、動植物の分布を記録した博物誌から地形、生物の方言まで収め、登山書としては例を見ない異色の内容>となっている。2001年12月11日(火)付け中国新聞記事「悼記」編集委員・山内雅也より。なお、同書巻頭には、今西錦司が"「西中国山地」に寄す"という一文を贈っている。

小松原橋ルート

今日、黒ダキ山山頂でいっしょになった方は、立岩貯水池の小松原橋から入って来られたようだ。途中では、二抱えも三抱えもあるようなモミの木があったという。イワカガミも我々が今日見たような程度ではなかったという。このコースも実は「西中国山地」で紹介されている。<黒ダキ山周辺の山と谷は(桑原良敏が)最も足繁く通った場所の一つ>(西中国山地P.109)だという。やみつきになりそうだ。