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2009年03月07日

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大元谷左岸コース~岩船岳登山口(多々良林道)~岩船岳縦走路(八畳岩から引き返す)~岩船岳登山口(多々良林道)~多々良林道
(出発帰着:宮島桟橋)

2009年03月07日(土)、単独

  • 今日の山行ルート図 ⇒ GPS軌跡(2009年03月07日)無し
  • 久しぶりの山行で岩船岳に届かず、八畳岩(大川越手前)から引き返す

このページの目次です

はじめに

大元公園~大元谷左岸コース~前峠~岩船岳登山口(多々良林道)~先峠(岩船岳縦走路)~351m~岩船岳縦走路途中まで(八畳岩)~(引き返す)~先峠(岩船岳縦走路)~岩船岳登山口(多々良林道)~多々良林道~海岸道路(多々良~大元公園)
(出発帰着:宮島桟橋)

久しぶりに外に飛び出す。「安芸国佐伯郡の山々」として、今年も十方山には何回か通うことになるだろう。それ以外では、今年は、まず宮島の登山ルートを地形図に落とし込んでみたいと考えている。ちなみに、今までに、鈴ヶ峰、極楽寺山をほぼ完成させている。宮島同様、いずれも江戸時代佐伯郡の地である。

久しぶりの山行でどこまで歩けるか。成り行きまかせで出かけるが、GPSに電池が入っていないことに気がついた。昨晩遅くに帰ってきて、乾電池を充電器にセットしておいたのをそのままにして出かけてしまった。(単4の乾電池くらい宮島でも売っているだろうに、何の躊躇もせず諦めている)

そんなこんなで、結局はあんまりがんばらず途中から引き返すことにした。それでも実際に現地を歩くと、いろいろな場面に出くわすので面白い。世界遺産の島「厳島」とどのように接するべきなのか、考えさせられる一日となった。

今日のコース&コースタイム

宮島桟橋8:43-大聖院9:00-水族館9:06-大元公園9:09-右分岐あり9:30-右から小さな沢9:35-前方にコルをみる9:38-小さな沢(左岸から右岸へ)9:40-倒木地帯9:44-小さな沢(左岸から右岸へ)9:54-稜線9:59、10:05-小コブ、すぐに鞍部(前峠)10:08-小尾根上、360度の景観10:14-多々良林道(岩船岳登山口)10:22、10:24-縦走路上(先峠)10:37、10:44-水場(沢)10:52-海軍省標石11:02-陶晴賢碑分岐11:05-展望岩場11:17、11:22-小コブ11:23-391mピーク11:25-八畳岩11:39、12:18-小コブ12:27-小コブ12:29-391m12:34-展望岩場12:38-陶晴賢碑分岐12:46-海軍省標石12:49-水場12:56-先峠13:05、13:09-多々良林道(岩船岳登山口)13:18-多々良13:47、13:55-大元公園14:26-宮島桟橋14:43

注:方位角は、〈磁北〉からの角度を示す

宮島桟橋(26分)大元公園(59分)前峠(14分)岩船岳登山口(13分)先峠、岩船岳縦走路
 小計1時間54分(岩船岳登山口2分を加える)
岩船岳縦走路、先峠(21分)陶晴賢碑分岐(12分)展望岩場(3分)391m(14分)八畳岩
 小計55分(展望岩場5分を加える)
八畳岩(16分)391m(31分)先峠(9分)岩船岳登山口
 小計1時間00分(先峠4分を加える)
岩船岳登山口(29分)多々良(31分)大元公園(17分)宮島桟橋
 小計1時間25分(多々良8分を加える)
総合計5時間21分
 (先峠7分を加える、八畳岩39分を除く)

連絡船の中から

連絡船の中から宮島の左端をみる。宮島最先端の聖崎の左に安芸小富士(似島)があり、同じく似島の203.1mは、聖埼の右側奥になる。似島の後ろに絵下山が連なり、安芸小富士の左奥に明神山、右奥に絵下山、そして、203.1mの右奥に烏帽子岩山をみる。烏帽子岩山の右奥には灰ヶ峰が大きい。それらの右手前には、宮島の山裾向こうに江田島の各ピークをみる。それらの内、見えているのはクマン岳(灰ヶ峰から約7度右)までだろうか。ソフト上は見えるとされる古鷹山(灰ヶ峰から約10度右)が見えるかどうか、少なくとも今日は確認できていない。

参考:約10度の角度とは、片手でVサインを作り、その手を前方に伸ばした時、人差し指と中指でできる角度。

大元公園から登る

宮島桟橋から、大聖院の前まで回り道をして大元公園に至る。途中の宮島水族館は、2011年8月(あと二年半)までリニューアル休館中である。その間動物たちは、全国各地の施設で預かってもらうため、それぞれ旅立っていった。

大元公園に入り大元川左岸に渡る。やがて、「宮島登山道(左矢印)、行き止まり(直進矢印)」の標識がある(この道しるべについては、参照:2008年10月04日山行記)。そのまま左岸を進む。一町、二町の石柱をみながらしっかりとした踏み跡をたどる。

途中で、小さな沢が左手からいくつか落ちてくる。ある時は、いったんその沢を少しさかのぼって行くこともあるが、すぐ元の大きな谷に戻りその左岸を行く。

稜線に登りつくまでには、倒木地帯がいくつかある。今日もそれを越えていくのはわずらわしいなと思いながらそこに至る。しかし、一番難儀をしそうな箇所では、倒木を切り落としたり、踏み越える倒木の上を削って、乗り越えやすくしてあったりと、いろいろ手を加えてある。切り口をみると、作業をしてからそんなに時間は経っていないようである。実際、前回(2008年10月04日)にはなかったことである。

誰が何のために作業をされたのだろうか。今日は、まずはありがたく通らせていただく。

このコースの入り口には、さきほど見たように、「前に進んでも行き止まりですよ」という意味の大きな標識がある。宮島登山道を公式ルート、非公式ルートに分けて考えるとすれば、非公式ルートに入るであろう。行政では非公式ルートには立ち入らないでほしいとしている。しかし、その根拠をきちんと示した上で、一般登山客に周知徹底する措置は何らとられていない。

多々良林道の前後

大元川上部の稜線に達すると、左右に踏み跡がある。右折して前峠山423mに至るものは、ほとんどシダの中に埋まっている。今日は、左折してしばらくゆったりと登り、ほんの小さなコブを越えて前峠(標高310m台)に至る。

踏み跡は、その先に延びているようであるが、ここで右折して多々良林道(岩船岳登山口230m前後)に向けて下る。(前峠付近について、2009年03月20日山行記で少し考察を加える)

多々良林道まで下る途中で小尾根を行く。前方が開けるようになると、先峠山402mが左前方にあり、そのさらに左やや奥の450m台との間に鞍部(先峠340m台、岩船岳縦走路)がみえる。今日はここから多々良林道まで一度下り、林道を横切ってその鞍部まで登りかえすことになる。

右前方には、大野瀬戸の向こうに経小屋山も見えている。多々良林道まで下りきると、簡易舗装道の向こう側に岩船岳登山口がある。道標には、(林道下り)桟橋、(林道上り)奥の院、(林道と交わって)高安が原を経て青海苔浦。

岩船岳登山口から再び登り斜面を行く。最初は水浸しになった緩やかな斜面を行く。やがて、斜面は急になりあえぎながら稜線上(先峠)に達する。なお、この稜線上の地点のことを青海苔浦乗越と称することもあるようだ。

岩船岳縦走路を行く

稜線上(岩船岳縦走路)にはきれいな踏み跡が付いている。左手を行けば、450m台~502mを経て奥の院に至る(2008年10月04日)。今日は右手に行き、351mピークを乗り越えて岩船岳をめざす。

先峠山の南東側斜面をゆったりと巻いて行く。やがて、前方の樹木の向こうに岩船岳の頭を見るようになる。すぐに、岩船岳の左に阿多田島、そして、岩船岳とその右手前の351mピーク(縦走路上)が折り重なる光景が目に飛び込んでくる。

阿多田島204.0mのすぐ左奥には甲島が見える。そして、それらの奥を周防大島が走っている。阿多田島の左ピーク99mのやや右奥に白木山、そして嵩山が、阿多田島の右ピーク100m台のほんのわずか左奥にあって、その右には嘉納山が続いている。なお、阿多田島204.0mのほんのわずか左奥に、大峰(佐多岬半島)も見える位置関係にあるというが、その手前の周防大島と区別して同定することはなかなかむつかしいだろう。

海軍省標石に分岐あり

水場としてホースが引いてある沢を渡る。再び稜線に乗って少し下ると海軍省標石がある。その側には、何やら道しるべが以前よりも増えたような・・・

先峠山・・・多々良林道に至る古い道がある、ということを言っているようである。以前から古い道があるという道しるべがあったように記憶している。なるほど右手に少し踏み込んでみると、右手前(北側)に向けて、先峠山の西斜面を行く形できれいな小道がついている。この道には今日初めて気がついた。

ふと見上げると、目の前に幅広の黄色いテープが巻きつけてある。裏返しになっているようだが、端をめくってみると「きけん立入禁止」と印刷されているのが読み取れる。だれかがいたずらに裏返して巻き付けなおしたのだろうか。帰りに行ってみたい衝動にもかられたが、やはり宮島では、むやみにコース外を歩き回ることは慎むべきだろう。

なお、もしかして、ここから大江浦(西側海岸部)に向けて下る道もあったのかもしれない。地形図では、海岸から途中まで黒破線が延びてきている。

陶晴賢碑(高安が原)分岐

標石から縦走路をそのまま行くと、すぐに陶晴賢碑(高安が原)分岐に至る。ここにも新しく手書きの道標が増えている。近年あまり顧みられることのなかった碑である。再び少しずつ注目され始めたのだろうか。(陶晴賢碑分岐の正確な位置については、参照:2009年03月20日山行記)

海軍省標石からこの分岐までほぼ平坦で、351mピークまでの鞍部(250m台)となっている。宮島の西海岸(多々良や大江浦)からこの乗越を抜け、高安が原(陶晴賢碑)を経て青海苔浦 (東海岸)へ下る古道があったとすれば、この地点こそ青海苔浦乗越と呼ぶにふさわしいであろう。

ここで地形図を改めて確認すると、青海苔浦に下る道(黒点線)は、縦走路上の先峠からそのまま下るようになっている。しかし、少なくとも現在そこに道があるとは思えない。青海苔浦に下るには、陶晴賢碑分岐(標高260m台)を東 ~南向きに下るのが正解である。

八畳岩で大休止(展望岩場を経て、351mピークを越えて行く)

鞍部のゆったりとした道を過ぎるとやがて急登りとなる。その途中に、展望岩場があり、能美島、小黒神島、阿多田島などを見る。 そこからは傾斜は少し緩やかとなり、351mピークのわずか東側を巻いて通り過ぎる。ピークから小コブを乗り越しながら下る。(参照:2009年03月14日山行記 )

八畳岩に至り小休止のつもりが大休止、今日はここまでとして引き返すことにする。対岸の経小屋山などを展望する。

経小屋山が大野瀬戸の向こうに大きい。その左裾奥に傘山がある。経小屋山の右は、傘山~経小屋山間(約13~14度)の倍くらいが見えている。大野権現山は手前の樹木に隠れて、見えるか見えないかの位置と思われる。したがってそのさらに右のおむすび岩は見えないだろう。

経小屋山の右裾奥に、河平連山があり、その右奥に横山908.3mがある。そのさらに右に容谷山、そして鬼ヶ城山(丸い頭、経小屋山から右約10度)が並んでいる。

宮島205mの向こう(傘山の左手)に、大竹の山々、小方行者山、忠四郎山、大鉢山、行者山などが見えているはずであるが、少しかすむ天気ではっきりしない。岩船岳の右裾、一番奥には、蓮華寺山、烏帽子岳、物見ヶ岳(平底の皿の形)、弥山など山口の山々が12度くらいの幅のなかに見えている。

樹間わずかに宇根山(東能美島)の鉄塔を見る。120度。

多々良林道を下り、サル、シカを見る

八畳岩から引き返し、再び351mを乗り越して、先峠から多々良林道(岩船岳登山口)まで下る。ここから再び山道に入る気になれず、多々良林道(簡易舗装道)を海岸(多々良)まで下ることにした。

途中で、一頭のサルが目の前を横切って行った(右手から左手へ)。銀白色でかなり体の大きなサルであった。宮島で野生のサルを見るのは初めてである。

海岸部に近付くと、2~3m幅くらいの道路両側を、高さ180cmくらいの金網が覆っており、そのトンネルの中を行く感じになる。果樹園を守るための金網と思われる。

その金網のトンネルの先に、シカが一頭立ち止ってこちらを見ている。角を生やしたやつである。どうしようかと一瞬考えたが、向こうの方へ歩いていったので、その後を追って歩いた。

ふっと、右の金網の中を見ると、角を生やしたやつがいる。この金網を乗り越えたのかと思ったがそうではなかった。道路上にまだ一頭残っている。そして金網の中をよく見ると、何頭かがしゃがみこんでいる。ウメか何かを植えた土地である。金網のどこかが破れているのだろう。

そういえば、桟橋に着いてシカをあまり見なかった。確か餌やり禁止になったのではなかったろうか。今まで桟橋周辺を徘徊していたシカで、野生に戻ることができるのはどのくらいいるのだろうか。シカの適正な頭数はどの程度なのだろうか。島の生活や植生保護との関係で、 宮島のシカ問題は深刻な検討課題となっている。

海岸道路に出た。広大宮島植物園(広島大学)の名札が樹木にかかっている。道路の真ん中に立ち、ぐるっと見渡しただけで、数種類の種名を読むことができる。ヌルデ、モッコク、エゴノキ、シリブカガシ、クマヤナギ、ヤマモモである。海抜ゼロメートル地帯、台風など大風が吹けば直接塩水をかぶる位置にある。

海岸道路を桟橋まで歩く

海岸通りを歩き、網之浦隧道、大元隧道を通って大元公園まで帰る。この近くまでの山側は広大宮島植物園の土地であり、樹木に名札がかけてある。この名札は、多々良から桟橋とは反対側にある広大植物園までずっと取り付けてある。宮島の照葉樹林が本土のそれとは異なる特異なものであり、しかもよく保存されていることを示している。植物好きにはたまらないコースであろう。

大元公園から水族館前を通って厳島神社手前に至る。大鳥居近くまで潮が引いており、歩いて渡る。(広島港の潮汐表から、7日干潮13:26、潮位140cm -若潮)。

その向こうの道路には人があふれている。真っ直ぐには歩けない。桟橋では、連絡船で次々と人が渡ってきている。宮島の観光客数はここのところ伸びているらしい。この勢いに乗じて、ますます魅力ある宮島になってほしい。入島税徴収がうまく行かなかったのはいかにも残念である。

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『孫と歩く~ユネスコ世界文化遺産の島・厳島~』

宮島のトピックス満載です。
なお、初版刊行後も加筆修正を繰り返しています。