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二軒小屋~十方山林道(祠まで)、往復
原哲之さん(細見谷保全ネットワーク事務局長)の死を悼みつつ!!
(出発帰着:二軒小屋)
2005年05月07日(日)、単独
このページの目次です
はじめに
2005年05月07日(日)、単独
十方山林道往復:
二軒小屋~水越峠~下山橋~ワサビ田~カネヤン原~山の神:祠
(出発帰着:二軒小屋)
「ぼくらの川のブナの森」掲示板によれば、原哲之さん(H.Noriyuki、細見谷保全ネットワーク事務局長)が2005年04月06日(水)亡くなったという (享年41歳)。投稿者:TONARI、投稿日:2005/04/07(Thu) 15:34 No.327
「ぼくらの川のブナの森」のテーマは、"細見谷・広島県十方山Jipposanのブナよ永遠に"である。つまり、十方山林道の大規模林道化中止を求める活動を成功させようとするものである。したがって、Webの内容には、十方山林道の大規模林道化計画の概要、最新のニュースあるいは各種催し物の告知などを含んでいる。
原哲之さんは、このWebの管理を一人でなさっていたようだ。細見谷保全ネットワーク事務局長という立場は、当Webマスターとして最適任者であったと言える。しかし、5年間にわたる闘病生活の最後にあたって更新は滞り勝ちとなり、わずかに掲示板だけが各人交流の場として機能し続けていた。
そうした状況の中で、たまたま今年3月末でWebを移転させなければならない事態となり、幸いなことにボランティアの方によって、移転作業がこの度無事完了したという。十方山林道問題の今後の展開において、我がHomePage(AKIMASA.NET)も相互リンク等によって、ささやかながら貢献したいものと考えている。
思えば私が十方山林道へ足を踏み入れるきっかけをつくってくださったのが原哲之さんであった。2002年08月10日(土)のことである。妻と孫2人の計4人で小型サンショウウオ観察会に参加した。途中で雨が強くなり、会としてその時は渓畔林まで行くことはなかった。
日を改めて、原哲之さんやその他、その時々の主催者の方から、細見谷渓畔林の現地観察会、あるいはシンポジウム等に参加のお誘いをいただき、その結果をレポート形式でMyHomePageにまとめてきた。私のポケットにいくつもの貴重な思い出をつくってくれた原哲之さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
内黒峠~十方山往復を予定していた。自宅から見る安芸小富士は、雨上がり後で、樹木の一本一本が分かろうかという程見通しがよい。作成済みのカシミール展望図を持ってでかける。十方山頂上からは同定できない位たくさんの山が見えることだろう。期待に胸が膨らむ。
ところが、内黒峠に近づくにしたがって、空はくもり、雨まで降ってきた。昨日からの天候の回復が少し遅れているようだ。雨の中を片道3時間縦走して、展望ゼロでは面白くない。十方山林道トレッキングに切り替え、出発点となる二軒小屋まで移動する。 原さんをしのびつつ、十方山林道を往復一人で歩いてみた。
今日のコースタイム:
二軒小屋(42分)シシガ谷登山口(55分)下山橋(31分)ワサビ田(50分)祠
小計3時間03分(途中休憩5分を加える、昼食タイム26分は加えず)
祠(39分)ワサビ田(20分)下山橋(45分)シシガ谷登山口(25分)二軒小屋
小計2時間09分
総合計5時間30分(祠18分を加える、昼食タイム26分は加えず)
二軒小屋9:30-シシガ谷登山口10:12、10:17-水越峠10:24-下山橋11:12-定札11:32-定点観測地点11:43、12:09- 赤土谷標識12:27-祠12:59、13:17-定点観測地点13:56-定札14:05-下山橋14:16- 休憩(スギ数本あり)14:29、14:35-小型サンショウウオ観察橋14:46-水越峠14:54-恐羅漢山登山口14:59-シシガ谷登山口15:01-二軒小屋15:26
-帰りは歩きに徹しています(走ったわけではありません)-
内黒峠から二軒小屋へ下る途中で、ウワミズザクラが満開。"コップ洗いのブラシのような花穂"(山渓ハンディ図鑑3、P534)をたくさん付けている。隣の大トチノキに花はまだみられない。(2003年05月24日トチノキ満開)
今日のコース概略は、二軒小屋からシシガ谷登山口を経て水越峠まで登り、そこから祠手前までゆったりと下り、最後に祠まで少し登る。水越峠を越えてからは、細見谷川に沿っていく。したがって、行きは下り、帰りは登りが主となる。ただし、今日のコースタイムは、帰りでひたすら歩きに徹した分、行きよりも極端に早くなっている。
五里山~恐羅漢山の稜線から、何本もの支谷が細見谷川に向かって落ちている。その谷の多くが豊かな水量の沢となって、未舗装の十方山林道を乗り越え、あるいはその下をくぐって流れ込んでいる。十方山林道の上には今日も水溜りが延々と続き、そこにブナの花芽などが降り積もっている。
クロモジ、キブシが目に付く。オオカメノキの白い花が美しい。花序は両性花のまわりに装飾花がある。ただし、花序に柄があるかどうかなど、きちんと見ていない。 花の形がよく似ているヤブデマリにしては時期が早いと思うのだが(吉和冠山2004年06月12日ヤブデマリ満開)。下山橋でキケマン。
2004年秋の台風は、十方山林道にも大きなダメージを与えたようだ。何となく雰囲気が明るくなっているところがある。川岸や山側の大木が何本も根こそぎ倒されて、空間があいているのだ。
また、川向こうの山肌が高さ20~30mにわたってずり落ちていたり、林道上でも小さな崩落が何箇所か見られる。十方山林道を大規模舗装化した場合、崩落しては修理の繰り返しにならないだろうか。
途中で、車2台を使って移動しながら調査しているグループとすれ違った。帰り道、祠の途中でまたすれ違った。七曲を通って帰るのだろう。大学の研究室かもしれない。何の調査かは分からないが、十方山林道(細見谷)に関する学術調査データを、どんどん集積してもらいたいと切に願うところである。
大規模林道化工事のためと思われる標識が、林道上に点々と設置してあり、工事開始の準備は既に完了しているようだ。ところで、十方山林道へはじめて連れて来てもらったのは、2002年08月10日のことである。その時、小型サンショウウオの観察をした橋のたもとがきれいに刈り取られている。
その他、台風の影響で大木が倒れて空間ができただけでなく、下草や雑木を刈り取ったために、明るく感じるようになった箇所があるような気がする。これも工事開始準備のためだろうか。
ワサビ田では、川向こうで男女一組が仕事中である。その他出合ったのは、行きで植物観察中に背中をバイクが1台行き交う。帰りにバイク5台のグループに追い越される。
ワサビ田の川のそばにスミレが一輪。借り物のデジカメ(400万画素)でうまく撮れた。しかし、その他の植物はマクロ設定をしたのにピンボケ、さらに撮影枚数がすぐに一杯となってしまった。撮りたい景色があり不要なコマを消去しようとしたが、操作方法がわからずほぞをかむ。次週、長男がマクロでの撮り方や印刷方法などを教えてくれるという。
祠の手前で日が差し始める。林道は祠にむけて少し登りとなる。祠は林道左手、細見谷川側のコブの上にある。林道右手山側の崖が崩れて一抱えもある岩が転がり落ちたままになっている。ヤマフジが多い。ツツジはオシベ5本と10本のものがあるようだ。ダイセンミツバツツジもあるということで、種の同定までには至らない。
二軒小屋まで帰り着き、その後すでに開通している大規模林道を通って広島方面に下った。海岸付近の山に比べて、うすくて淡い黄色~緑色がまだまだ強くてきれいだ(花時のコナラの樹冠は青緑色、クヌギは黄色、1週間もすると同系の緑色になり区別がつかなくなる-山渓ハンディ図鑑3、P226-7)。なお、この林道を今の時期に通る車はほとんどなさそうだ。
海岸部附近の山では、点々と、あるいはかなりの範囲がかたまって濃い黄色に染まっている。アラカシの雄花花序が垂れ下がっているのであろうか。今日もまた自然の中で楽しく過ごせた一日であった。