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ひろしま百山(私の踏み跡)>> 細見谷渓畔林と十方山林道 >>「創立20周年記念誌(草稿)」
細見谷林道工事中も植物調査継続
- 「緑資源機構」に官製談合の疑い -
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21世紀は環境の世紀(Point of No Return)
ノーベル平和賞(地球温暖化問題の取り組みを評価)
ノルウェーのノーベル賞委員会は、2007年のノーベル平和賞を、地球温暖化問題に取り組んでいる「アル・ゴア前米副大統領(59歳)」と「国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」に授与すると発表(10/12)しました。
21世紀は環境の世紀です。もしも地球温暖化がこのまま進んで、地球の気温が産業革命時代以前よりも2度C上昇(気候変動 +2℃)したならば、地球の生態系はもう元には戻れないとされています。そして、WHOはその時期を2028年(Point of No Return)と想定しています。
日本の天然林を救おう(林野庁から環境省へ移管して保全する改革)
「日本の天然林を救う全国連絡会議」(代表世話人・河野昭一京都大学名誉教授)による「国有林内の天然林を環境省に移管し保全する改革に関する請願書」の署名活動が昨年末(12/5)に開始されました。朝日新聞記事(2006年12月5日付け)
地球の豊かな生態系を保持していくためには、豊かな森林が欠かせません。しかしながら、日本国内の各地で、大切な国有天然林の乱伐、違法伐採が今も続けられています。国有林野を所管する林野庁でも、現場の実態を「すべては把握しきれない」と自らの限界について述べています。(同上新聞記事)
国有林野事業は、1998年に抜本的な改革を行ない、3兆8千億円の累積赤字のうち2兆8千億円を一般会計など(税金)で補填しました。それでも残った1兆円という膨大な債務の穴埋めをするために、国有天然林を伐採するというのであれば、それは誠に愚かなことです。
伐採によって得られる利益は、ほんのわずかばかりの現金であるのに対して、それと引き換えに、二度と取り戻すことのできない豊かな生態系を破壊してしまうことになるからです。
「もう林野庁には任せておけない」というのが今回の請願書提出の趣旨でしょう。森水の会でも署名活動に協力をしました。集めた署名は随時送付しており、2008年1月現在で合計3,397筆となっています。なお、全国では約8万筆集まったそうです。
「緑資源機構」の解体に向けて
「緑資源機構」に官製談合の疑い
独立行政法人「緑資源機構」(農林水産省所管)をめぐる官製談合の疑いが浮上してきました。昨年10月30日に、公正取引委員会による同機構の立ち入り検査が行なわれ、今年に入って、同機構の理事ら6名が東京地検特捜部によって逮捕(5/24)されました。
容疑は「緑資源機構」が発注した林道整備のコンサルタント業務(天下り先)をめぐる談合事件に関する独禁法違反(不当な取引制限)です。
事件はさらに、現職の農林水産大臣が議員宿舎内で自殺(5/28)するという事態に発展して行きました。こうして「緑資源機構」は、2008年3月31日付けをもって廃止されることになりました。ところが、その業務の大部分は「森林農地整備センター」と名称変更して継承されることになります。同センターは、林野庁所管の独立行政法人「森林総合研究所」の一部門として存続することになるのです。
なお、林野庁は農林水産省の外局であり、三公社五現業の現業の一つです。そして、現在でも唯一国家公務員としての地位を保っています。
大規模林道問題全国ネットワーク活躍する
今年、福島県会津若松市で開催(7/28~29)された「大規模林道問題全国ネットワークの集い」(第15回)のスローガンは、「天然林の保全と大規模林道の中止・緑資源機構の解体!」です。
「日本の天然林を救う全国連絡会議」の代表世話人・河野昭一さんは、「大規模林道問題全国ネットワーク」の代表でもあります。今年は、全国ネットワークのメンバーが中心となり、今年のスローガンに沿った種々の要望書の提出や声明の発表(4/26付け、5/18付け、6/22付け)を行ない、また各種の話し合い(5/18、6/22など)に臨みました。
細見谷林道工事中も植物調査を実施
細見谷林道工事(十方山林道の大規模林道化工事)は、昨年末(11/21)に林道の両端(吉和西、二軒小屋)から着手されました。斜面の木々の伐採から始まり、道路を掘り返しての舗装作業というように、今年も工事は「順調」に進んで行きました。
工事中、歩行者は通行止めにされることもなく林道に入ることができました。そこで、植物調査を3回実施(5/6、/24、7/22)しました。
2007年年表
-2月4日(日)、森と水と土を考える会、総会
(カトリック観音町教会・ヨゼフ館2階、広島市西区観音町)
-2月15~27日(木~火)、田島征三 生命と自然の造形展
-絵本原画とタブロー作品による展示から-
(ガレリア・レイノ(株)、広島市中区大手町)
-3月20日(日)、日本生態学会第54回大会、公開シンポジウム
大規模林道につける薬(3)-生態学は政治・司法に発言できるか
(愛媛大学、愛媛県松山市文京町)
-4月8日(日)、広島県議会議員選挙
金井塚はるか氏、1万票獲得するも惜敗(廿日市市選挙区、定数2)
-4月26日(木)、細見谷大規模林道工事の即時中止を求める要望書
(緑資源機構宛て、森水の会ほか)
-5月6日(日)、細見谷 春の植物調査、##指導者は??##
-5月18日(金)、独立行政法人「緑資源機構」の解体を求める声明
林野庁に届けて、話し合い
(大規模林道問題全国ネットワーク、森水の会・会長ほか)
-5月18日(金)、緑資源機構談合等の再発防止のための第三者委員会(第1回委員会)
-6月3日(日)、春の十方山林道ウォーキング
(吉和西~祠(山の神)~下山橋~水越峠~二軒小屋)約14.4km
-6月16~17日(土・日)、環瀬戸内海会議第18回総会
「リサイクルを騙(かた)る廃棄物 ~ 狙われる塩田跡地」
(岡山県瀬戸内市牛窓町)
-6月22日(金)、緑資源幹線林道事業の再検討に関する要望書
林野庁長官宛て文書を届けて、農林水産副大臣などとの話し合い
(大規模林道問題全国ネットワーク、森水の会・会長含む)
-6月24日(日)、細見谷 夏の植物調査、指導/松村雅文さん(シダ植物)
-7月10日(火)、林野庁と林道工事の即時中止を求めて話し合い
林野庁森林整備部長ほか対応
(大規模林道問題全国ネットワーク、森水の会・会長含む)
-7月22日(日)、細見谷植物調査
指導/米澤信道さん(京都から環境大学の細見谷現地見学で来広)、##河野先生も参加?##
-7月28~29日(土・日)、大規模林道問題全国ネットワークの集い(第15回)
(福島県会津若松市、原戸さん参加)
「天然林の保全と大規模林道の中止・緑資源機構の解体を!」
-8月26日(日)、植林地の下草刈り
-10月20日(土)、猪山神楽見物
-10月21日(日)、廿日市市長選挙(広島県)、井上さちこ氏惜敗
-10月25日(木)、山本明正著「細見谷渓畔林と十方山林道」(自費出版)
-11月3日(土)、シンポジウム「どうする!日本の森 - 文化の源流・人と自然を考える」、パネラー/市川守弘さん(弁護士)、河野昭一、金井塚務の各氏、##くわしいパンフは?##
(アステールプラザ、広島市中区加古町)
-11月4日(日)、秋の十方山林道ウォーキング
-12月9日(日)、定例会&忘年会
そのほかの資料など
-朝日新聞記事(2007年3月3日付け)
私の視点、ウィークエンド、C・W・ニコル(作家、「日本の天然林を救う全国連絡会議」呼びかけ人の一人)
-日本生態学会第54回大会(松山)3月20日
井上栄壮さん(信州大学・繊維学部)
「水生昆虫の生息状況からみた細見谷の特徴とその貴重性」
-毎日新聞記事(2007年4月3日付け)
緑資源機構理事、談合認める
-中国新聞記事(2007年6月2日付け)
緑資源談合、政府、林道整備中止を示唆
「しわ寄せだ」「英断を」、細見谷 地元は困惑
-読売新聞記事(2007年5月30日付け)
「緑資源」林道整備廃止を
規制改革会議第1次答申案、談合再発防止求める
-中国新聞記事(2007年8月26日付け)
岡山理科大学副学長・波田善夫さん
廿日市市の細見谷 宙に浮く幹線林道計画
負担膨大 事業再考を、活用や採算 説得力欠く
-那須圭子「中電さん、さようなら」2007年11月11日
山口県祝島、原発とたたかう島人の記録(八月書館)
-読売新聞記事(2007年11月2日付け)
「緑資源」元理事ら有罪、東京地裁判決「典型的な官製談合」
-朝日新聞社説(2007年12月8日付け)
独立行政法人 改革を頓挫させるのか
-中国新聞記事(2007年12月23日付け)
山本明正著「細見谷渓畔林と十方山林道」(自費出版)
広島の環境団体会員の山本さんが手引書
-堀啓子「十方山林道周辺の植物」
『峠』No.43:89-96、広島山稜会(2007.3.31)収載