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細見谷渓畔林と十方山林道

2001年(平成13)の活動記録

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大規模林道問題全国ネットワークの集い
- 初めての広島大会開催(西日本初) -

このページの目次です

西中国山地ブナの森づくり

既存の植林地や苗畑の維持・管理

「西中国山地ブナの森づくり」の植林地は現在3か所(細かく分けると4か所)あり、そこに約2,000本単位の広葉樹を植林して維持・管理をしています(詳しくは2000年参照)。しかし、これ以上手を広げるには、圧倒的に人手が足りません。(*植林回数など詳細確認)

そこで今年も昨年に引き続いて、既存の植林地や苗畑の維持・管理に力をそそぐことにしました。

苗畑では苗木が順調に育っており、大きくなった苗木で日陰ができるようになりました。そこでは雑草があまり育たないため、年々草取りが楽になってきています。しかし、この大きくなった苗木を今後どうするのか、むつかしい問題です。

植林地の中では、中津谷県境近くの育ちが悪く、広葉樹を約200本くらい補植(4/15)しました。続いて、猪山植林地の手入れ(7/22)をしました。どうも苗木の生育は今一つのようです。もみの木森林公園東隣りの植林地でも下草刈り(8/26)を行いました。ここでは苗木は大きく成長しており、今後が楽しみです。

細見谷大規模林道問題

大規模林道とは、全国7つの林業圏域(林道網)の中核となるべき林道のこと

旧・森林開発公団(2001年当時、緑資源公団)は、全国に7つの林業圏域を設定(1973年、大規模林業圏開発林道事業)して、その中における林道網の中核とすべく大規模林道の建設を押し進めてきました(計画延長約二千km)。

これは、いわゆる「スーパー林道」(1965年、特定森林地域開発林道事業)とは事業そのものが異なります。そして、スーパー林道(1990年完成、例えば南アルプススーパー林道など)が、幅員4.6m〈未舗装〉であるのに対して、大規模林道(未完)は、幅員7m(道路幅員5.5m)二車線〈舗装〉とさらに大型の規格となっています。

しかしながら、いずれにしても両者とも山間部を貫く大型の林道であり、各地で土砂災害などの自然破壊を繰り返しています。これに対して、大規模林道問題全国ネットワーク(以下ネットワークと略称、1993年結成)などが、建設阻止活動を行っています。

大規模林道問題全国ネットワークの集い(第9回、広島大会)を開催する

森水の会も、1990年発足当初から十方山林道問題(細見谷大規模林道問題)に取り組んでいます。しかし、全国ネットワークとの接点は今まで全くありませんでした。それは、このネットワークが主として東北地方を活動の中心としていたからです。

森水の会がネットワークの存在を知ったのは2000年ころです。何だ、お前たちも大規模林道問題をやっているのか。それじゃ一緒にやろうじゃないか。こうしてさっそく、西日本で初めての全国集会を広島で開催することになりました。

広島大会の要請や準備の段階で、加藤彰紀・ネットワーク事務局長が幾度となく東京から来広して力づけてくれました。また、富士ゼロックス端数倶楽部より全国集会費用にと20万円のカンパがありました。

広島大会を振り返る(良かった点あるいは反省点など)

広島大会で、今までの私たちのやり方は決して間違っていなかった、と改めて確信することができました。

つまり、私たちの活動の特徴は、ただ単なる「大規模林道建設反対」に留まることなく、私たちの側からの対案「西中国山地ブナの森づくり」(広葉樹の森再生計画)を提示し実践していることにあります。そしてそこでは、森と海をつなぐ水系(太田川)を丸ごと一つのものとしてとらえる考え方を取り入れています。

そうしたやり方、考え方に多くの参加者から賛同をいただき、自信を深めることができました。

一方で、反省点もあります。それは、今まで十方山林道周辺の生態系の豊かさについてさんざん語っておきながら、その具体的内容についてはほとんど何も知らない、ということに改めて気付かされたことです。

この点は、さっそく翌年からの活動に生かされました。専門家の指導をあおぎつつ、私たち一般市民が率先して自前のデータを集め、環境アセスメントの調査資料と突き合わせる作業を開始しました。そしてそこから、いろいろなことが分かってきたのです。

なお、大会参加者から多くの感想文をいただきました。
-井上祐治さん(岩手県、早池峰の自然を考える会)
-加藤彰紀さん(東京都、大規模林道問題全国ネットワーク)
-原敬一さん(山形県、葉山の自然を守る会)
-東瀬紘一さん(福島県、博士山ブナ林を守る会
-梶谷泉さん(神奈川県、丹沢ブナ党)
-佐藤信博さん(兵庫県、オオタカ調査研究会・ハヤブサ研究協議会)
など(順不同)、森水会報(2001年10月18日発行)に掲載しています。

路線変更から計画そのものの中止を求める(運動方針を明確にする)

今年はじめ(2/4)、加藤彰紀・ネットワーク事務局長が来広して、森水の会に対して全国大会(第9回、広島大会)開催を要請しました。その際に、ネットワークおよび森水の会は「大規模林道そのものに反対の立場を取る」ことを確認しました。

従来から、森水の会では戸河内・吉和区間の計画変更(路線変更)を求めていました。今回の運動方針変更は、それらから、さらに一歩踏み込んだものといえます。

ネットワーク広島大会に先立ち、今春の十方林道新緑ウォーキング(5/20)には、ネットワークの藤原信・代表委員、加藤彰紀・事務局長および「博士山のブナ林を守る会」代表の東瀬紘一さんが同行しました。そして翌日(5/21)、緑資源公団(広島)に対して「大規模林道即時中止」の申し入れ(藤原信さん、加藤彰紀さん同行)を行いました。

さらに、広島での全国大会(10/6~7)が無事終了した後、「緑資源公団の廃止を求める再要望書」を林野庁に提出(10/26)しました。これは、大規模林道問題全国ネットワークとして提出したもので、原戸祥次郎さんが関係者7名の内の一人として上京しました。

年末には、「大規模林道問題全国ネットワーク」の働きかけによって、写真週刊誌「FRAYDAY」2001年12月28日号や山岳雑誌「山と渓谷」2002年1月号で、緑資源公団と大規模林道事業の実態が記事になりました。

これを受けて、森水の会では、緑資源公団(広島地方建設部)に対して、申し入れ(12/27)を行い記者会見を開きました。その内容は「十方山林道の大規模林道化計画の中止を求める」もので、「吉和の自然を考える会」(谷田二三代表)との連名です。
-毎日新聞記事(2001年12月28日付け)
-中国新聞・ニュース交差点(2001年12月28日付け)

2001年年表

-2月4日(日)、加藤彰紀・大規模林道問題全国ネットワーク事務局長(来広)、今秋の全国集会を広島で開くことを森水の会に要請
-2月18日(日)、森水の会総会、大規模林道問題の全国集会(広島)受け入れを正式決定(カトリック観音町教会、広島市西区観音町)
-3月11日(日)、大規模林道問題全国集会に向けて取り組み開始
(カトリック観音町教会、広島市西区観音町)
-3月25日(日)、デポジット法制定ネットワーク広島
講師/青野健二さん(水と緑を育む会代表、森水会員)、著書「廿日市版スーパーの買い物ガイド、環境・健康いい品いい店応援隊」
(広島市ボランタリー総合支援センター2F、広島市役所北別館)
-4月7日(土)、学習会「上関原発建設をめぐる現状」
講師/高島美登里さん(長島の自然を守る会)
(フリースペース「みんなの広場」)
-4月15日(日)、中津谷県境近くの植林(補植)広葉樹約200本(一般公募あり)
-4月30日(月・祝)、チェルノブイリ15周年救援コンサート「チェルボナ・カリーナ&ナターシャ・グジー」ラスト広島コンサート
主催/チェルボナ・カリーナの会、チェルノブイリ子ども基金
(アステールプラザ大ホール、広島市中区加古町)
-5月6日(日)、吉和の苗畑手入れ
-5月10日(木)、全国集会準備(第2回実行委員会)
-5月19日(土)、加藤彰紀・大規模林道問題全国ネットワーク事務局長(来広)、交流会
-5月20日(日)、新緑ウォーキング&現地調査(一般公募あり)
大規模林道問題全国ネットワークの藤原信・代表委員、加藤彰紀・事務局長および博士山ブナを守る会の東瀬紘一さん同行
(二軒小屋~十方林道、下山橋まで往復)
終了後、全国集会の打ち合わせ(森水事務所)
-5月21日(月)、緑資源公団(広島)へ、大規模林道即時中止の申し入れ(藤原信さん、加藤彰紀さん同行)
-6月2日(土)、森水の市(バザー)
-6月19,20日(土・日)、環瀬戸内海会議総会(山口県笠戸島)
共催/環瀬戸内海会議、長島の自然を考える会
-7月22日(日)、猪山植林地手入れ(一般公募あり)
-8月26日(日)、もみの木森林公園東隣り植林地手入れ
-9月13~16日(木~日)、吉和村公民館で写真展&講演会(田中幾太郎さん)
主催/吉和の自然を考える会
-10月6~7日(土・日)、大規模林道問題全国ネットワークの集い(第9回)・広島集会
大規模林道問題を考える「西中国山地は今」
–6日:講演会/藤原信(大規模林道問題全国ネットワーク代表委員)「公共事業と大規模林道」、金井塚務(西中国山地自然史研究会・宮島自然史研究会)「西中国山地は今」/ネットワークの集い、各地からの報告/交流会
(弥生別館山陽荘、広島市東区大須賀町)
–7日:二軒小屋~十方山林道ウォーキング
-10月26日(金)、「緑資源公団の廃止を求める再要望書」提出、林野庁(東京・霞が関)にて、大規模林道問題全国ネットワークの関係者7名の内の一人として、原戸会長上京
-11月4日(日)、紅葉の十方山登山&ブナの森ミニコンサート
–一般:十方山登山口(シシガ谷コース)十方山往復~十方山林道(下山橋まで)
–のんびり:十方山登山口~十方山林道~下山林道散策
–下山橋で両コース合流、ミニコンサート(バイオリン・檜垣智子さん、ギター・小林一彦さん)帰着、二軒小屋
-11月18日(日)、今年最後の苗畑手入れ
-12月19日(日)、忘年会
-12月27日(木)、緑資源公団に対して大規模林道工事中止の申し入れ(吉和の自然を考える会と連名)

その他資料など

-朝日新聞記事(2001年4月24日付け)、上関原発に知事同意
-中国新聞・天風録(2001年4月24日付け)、上関原発の計画そのものには同意
4月5日、国(経済産業省資源エネルギー庁)から山口県知事に対して、上関原発に関する意見書の提出(期限4月25日)が突然求められました。これに対して、二井関成・同県知事は「事実上同意する」意見書を提出しました。事実上の上関原発ゴーサインであり、国内における新規の立地としては、東海村臨界事故(1999年)後初めてのことになります。
-このころ「環・太田川」創刊
10月25日(木)、第二回月例学習会(カトリック観音町教会)
11月29日(木)、第三回月例学習会
十方山林道の保全の意義と取り組みへの提案
広島大学大学院生物圏化学研究科教授・中根周歩さん(森林生態学)

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