2006年05月07日

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公募観察会(植物と歴史)
(出発帰着:宮島桟橋、瀬戸内海国立公園宮島地区パークボランティアの会)

2006年05月07日(日)、単独

イワタイゲキ

〈写真〉イワタイゲキの群落

大元公園~宮島自然植物実験所~下室浜海岸

このページの目次です

はじめに

瀬戸内海国立公園宮島地区パークボランティアの会
公募観察会(植物と歴史)

9:30、大元公園休憩所集合
9:45、海岸道路を西南西に向けて出発
植物観察(多数)
12:05頃、下室浜海岸着(イワタイゲキ、ハマゴウなど)
12:35、シカを救うのはわたしたち(紙芝居)
その後、室浜砲台跡へ移動、砲台について解説
さらに、広島大学理学部附属宮島自然植物実験所に移動
宮島の自然の特徴等レクチャー(坪田先生)
14:00過ぎ、実験所出発
15:00過ぎ、大元公園着、解散式
15:37、宮島桟橋着

大雨の予報であったが、朝起きると傘がいるかいらないかといった天気。集合時間を過ぎて、班編成を行うころにはほとんど雨は止んでくれた。

集合場所(大元公園)まで早めに着いたので、海で大型のトリを追いかけて遊ぶ。くちばし黄色、全体にグレー、羽先黒で、くび白色。アオサギだろう。帰りのJR宮島口のプラットホームで遊んでいたトリは何だろう。カワセミくらいの大きさ。

5月の宮島には雪が降る。成る程、帰りの連絡船から見ると、特に多宝塔~駒ヶ林の尾根南西面が白くなっている。クロバイの花(白色)だ。今日の観察会コースでもみごとな咲きっぷりの個体があった。

残念ながら今日一日弥山、駒ヶ林の山頂部は雲の中に隠れたままだった。しかし、雨上がりの新緑は美しく映え、おおいに楽しませてもらった。そしてなにより、謹慎中の身にはほどよい運動となった。

集合場所の大元公園にむかう

本土側の宮島口桟橋で連絡船に乗る。航路130度(磁北から)で宮島をめざす。宮島桟橋に降りて海岸沿いに歩き、御笠の浜護岸の上から目の前に大鳥居を見る。厳島神社の右向こうに多宝塔(196度)を見る。潮があり対岸には渡れない。

集合場所の大元公園をめざす。公園近くの海岸でアオサギと遊ぶ。護岸から西松原の突端の向こうに桟橋(53度)をみる。やがて、集合時間となり班編成をして9:45出発。一般参加者70名程度。

植物観察会(大元公園~宮島自然植物実験所~下室浜海岸)

地衣類、菌と藻類の共生。大元橋の上からシラウオをさがす。昔は名物だったようだ。隧道手前、左手上にミヤジマシモツケ、隧道を出て、ヒメイタビ。ウリハダカエデの花が垂れ下がる。雌雄異株、オスの木はオシベだけ。ギンリョウソウ。ヒメハシゴシダ9:58、イタビカズラが大きな株に巻きつく。ミツデウラボシ。イタビカズラ、花咲き始め。ツタ(ナツヅタ)。

ヒメヤマツツジ、おしべ5本、夏葉残る。全体的にコバノミツバツツジより優雅。

以下、QJY通信62号、平成9年5月5日より。
「まだツツジが? 良く見るとコバノミツバツツジはすべて終っているぞ。それに葉が違うし花のオシベの数がコバミツは10本だがこれは5本、ヒメヤマツツジだ。今までフジツツジと呼んでいたいわゆるメンツツジ、これを最近東大の先生がヒメヤマツツジと同定したそうだ。かつての隣人石井さんの話。牛田山の縦走路はコバノミツバが終るとこの花で全山彩られる。花のつきかたも三つ四つと輪生するので区別できる。まるでレンゲツツジかゲンカイツツジのようだ 」

しばらくしてきれいな花が残っており、数枚写真を撮るがどうもうまくいかない11:10。ヤマモガシ。

横道に入って、クロバイ、白いブラシがよく目立つ10:11、花びらよりオシベの方が多い。カゴノキの古木をみる10:12。頭上高く枝分かれした箇所に、ヤマウルシ、ヒサカキなどが生えている。

ハイノキは5種類存在している。ミミズバイ、全縁、ギザギザなし。カンザブロウノキ、ギザギザあり。清掃センター手前、ウラジロのアンテナを出している。カンコノキ。

ナンゴクウラシマソウ10:28、浦島の釣竿、釣り糸がでている。鳥足状複葉。トウゴクシダ、ベニシダ、ホラシノブ。フジ左手型10:35、満開。ウリハダカエデの翼果がすでに出ている。タイミンタチバナ、雌雄別株。イヌザンショウ。タイミンタチバナ10:43、メス、花のめしべが飛び出る。ヌルデ。

アカメガシワ10:49、若葉は赤く、赤い部分はこすると落ちて緑の地肌がみえてくる。アリとの共生(写真なし)。カマツカ10:54、白い花、牛殺し。ウリハダカエデ10:58。サカキカズラ、ヤマフジ右手型、花がフジより少し大きい。多々良通過11:17。

テリハノイバラ、川手前右、托葉にギザギザなし(ノイバラとの違い)。だんだんと大野瀬戸が狭まってくる。岬の突端から海上の灯台13度。コバノミツバツツジ、ほんの少し残る。花びらが足を踏ん張っている。これに対して、ヒメヤマツツジは上品。

オオバヤシャブシ、葉が対称ではなくちょっとずれている。リョウブ、去年の実(黄色)がぶら下がっている。これから花の時期。シャシャンボ、葉先が鋭い。これに対してヒサカキ、葉先は丸く、ほんの少しくぼむ。葉裏に突起。

ウバメガシ、海岸性。カンザブロウノキ、葉ギザギザ(ミミズバイ、ギザギザなし)。ホウロクイチゴ。シロダモ12:03、葉裏白色、新芽は茶色の花(傘型)のように見える。コシダ、サルのおやつ。ジャケツノイバラ。ウラジロマタタビ、葉柄が赤い。下室浜海岸着12:05頃。イワタイゲキ。

下室浜海岸は大野瀬戸の一番狭い地点である。幅約500mしかない。日露戦争直前に室浜砲台を完成させたものの水深が浅く、艦船の通行は不可能であったらしい。また、豊予・下関砲台等の完成によりその役目を終えた(大正15年)。対岸の永慶寺川右岸とほぼ平行の位置(313度)。蛭ヶ崎鼻ピーク262度。昼食後、紙芝居「シカを救うのは私たち」。

坪田先生のお話(植物実験所)

室浜砲台跡を経て、植物実験所へ移動して、坪田先生のお話をうかがう。

宮島では人と自然とが調和しており、生物多様性が非常に大きい。種類は多く消滅種は少ない。海岸線が自然のままの形で残されている。愛媛県南部あたりとよく似ており南方系である。対岸の大野町とも異なっている。帰化植物が少なく、草本の割合が少ない(樹木の方が多い)。災害後、過度な修復がなされ、木を切っている。1970年代に松枯れを切り出すためにブルドーザーを入れており、土砂の流れをせき止めている。宮島には、室浜砲台跡などの戦争遺産があり、遺産指定もめざしている。

コシダが一番大きい面積を占めている。ウラジロと棲み分けているかどうかは、明確ではない。コシダは、特に日光の当たる所にはえる。林床には入り込まない。ウラジロの茎にはリンペン(三角形)があり、コシダにはない、そして毛が生えている。コシダは枝の間から枝が出る(枝分かれする-掘ってみて確認)、ウラジロは枝分かれしない。

学名に親しんでほしい。学名、ラテン語は死んだ言葉であり、変化しないことから、逆にだれにでも使いやすい言葉になっている。つまり、命名当時から言葉の意味が変化しないので、その内容を取り違えることなく使い続けることができる。

今日もまた有意義な一日であった。

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なお、初版刊行後も加筆修正を繰り返しています。