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ひろしま百山(私の踏み跡)>> 細見谷渓畔林と十方山林道 >>「創立20周年記念誌(草稿)」
「西中国山地ブナの森づくり」始動
- 畝を作り、広葉樹の種をまく -
このページの目次です
西中国山地ブナの森づくり
広葉樹の森に注目、「冠山・小川林道を歩く会」を実施
森水の会では、一昨年「広葉樹による不伐の森づくり」構想を打ち出しました。しかし、昨年は特に具体的な行動を取ることなく終わりました。
今年になって、「広島県に吉和冠山北東側のブナ林を買い上げる計画」(朝日新聞記事、1993年2月23日付け)があることが分かってきました。広島県では、ツキノワグマを保護するため、スギ・ヒノキといった「針葉樹の植林」ではなく、「広葉樹の森」に注目しているというのです。森水の会と同じ考え方なのでしょうか。
まずはともかく、”吉和冠山北東側”を歩いてみようということになり、「冠山・小川林道を歩く会」(5/30)を企画しました。当日は、広島県森林保全課や西山林業組合の方々にご協力いただき、植物や小鳥の説明など充実したフィールドワークを実施することができました。
広葉樹の森づくり、一年目の作業(畝を作り、種をまく)
「冠山・小川林道を歩く会」開催後、お世話になった「西山林業組合」の専務さんから、「山を貸してもいいよ」というありがたいお話をいただきました。いよいよ私たちの不伐の森(継承の森)構想を実行に移す時がきたのです。
森水の会では、「広葉樹の植林」を行うことを考えていました。そこでまず、植林の「いろは」から教えていただきました。
一般的に、植林をするときは、種を直接現場にまくのではなく、発芽して三年程度育った苗を植えるのだそうです。私たちは、植林用の苗(広葉樹)を、自分たちの手で種から育てることにしました。そのための苗床として、広島県吉和村役場近くに土地を借りることができました。
さっそく、十方山林道で種拾い(10/10、10/17)などの準備をして、畝作り(11/20)、種まき(11/21)を行いました。今年の作業では、ブナ約3合、トチ約10kg、カシ約2合、ミズナラ・コナラ約500~600個、その他約500個を使用しました。(結果:トチの芽は出ましたが、ブナやミズナラは霜でやられてしまいました)
ゴルフ場建設問題
環瀬戸内海会議(香川県豊島を初訪問)
5月の環瀬戸内海会議三周年記念大会(大分県・国東半島)には、森水の会から、原戸祥次郎さん(「環瀬戸内海会議」事務局長)と船木高司さん(「環瀬戸内海会議」立ち木トラスト事務局長)が出席しました。そして、それぞれ報告を行いました。
9月の環瀬戸内海会議秋の大会(香川県直島)では、大手学習塾の福武書店(本社・岡山市、現・ベネッセコーポレーション)が計画しているゴルフ場開発問題について考えました。
その時の直島宣言(9/9付け)によれば、瀬戸内トラストのオーナーは5,000人以上で、立ち木は12,000本に達しています。この三年間で24か所のトラストを行い、10か所以上でゴルフ場開発をストップさせてきました。(立ち木1本1,500円)
直島(なおしま)大会では、産業廃棄物(産廃)にゆれる豊島(てしま)見学もあり、その後の豊島問題への第一歩を踏み出すことになりました。
広島県ゴルフ場問題連絡会(原戸会長が上京して申入れ)
今年の総会(4/25)では、竹原市吉名のゴルフ場開発を重点的に取り上げることになりました。竹原市吉名は、今では瀬戸内海唯一のカブトガニ生息地になってしまったと考えられている地域です。原戸祥次郎さんが上京して、環境庁や当該企業に対して吉名の開発中止を要請(11/8)しました。
ところで、上記総会では、吉名のほかにもう一つの取り組みを決定しています。ゴルフ場及び予定地付近の水質調査(井戸水や河川の水)を全県的規模で継続的に調査しようというものです。住民による監視機構として有意義な試みといえるでしょう。
二度目の美術展開催など
美術展「Save Our Green Earth」開催
「見捨てられたモノをアートする」と題して、森水の会二度目の美術展を開催しました(11月後半の4日間)。展示された作品は20点で、入場者数は約1,400人でした。
会場として、前回(1991年11月、「ペーパーワーク21ひろしま展」)同様、天満屋八階催物会場の一部を無料でお借りしました。なお、美術展はこの後、三次・上下の二か所を巡回しました。
原発を考える
森水会報9月号p.6-7に、「上関原発10年の歩み」が掲載されました。学習会「電磁波ってなに?」(10/3)も始りました。原発問題は森水の会の関心事の一つなのですが、現場が隣県(山口県上関町)ということもあり、今一つ主体的に取り組めないもどかしさがあります。
縁農など
橋岡伸明さんの橋岡農場(旧比婆郡口和町)では、昨年に引き続き、田植え(5/23)、草取り(7/4)そして稲刈り(9/26)までの一連の作業をお手伝いしました。
ゴミ問題
会報12月号p.4-6で、西川恵子さんが、広島県白木町井原の大谷(太田川上流の水源)のゴミ埋め立て計画について訴えています。
そのほか
中国新聞記事によると、「野生生物の保護対策など自然環境保全事業に広島県(竹下虎之助知事)が本腰」を入れ始めたようです。
そこではまず、ツキノワグマが対象の一つとして選ばれました。そして、その保護のために西中国山地のブナ林を買い取ることになったようです。
こうした動きについて、中国新聞「社説」(1993年3月12日付け)は、「中国山地のブナ林を守ろう」と題して高く評価しています。そして同社説は「ブナ林の保全は、農山村ではなく、むしろ瀬戸内都市の課題であろう」という文章で締めくくっています。
その二年後、中根周歩さん(広島大学教授)は、中国新聞・中国論壇(1995年3月6日付け)で次のように述べています。「渇水対策と自然林育成」:水源の森は、不伐の自然林(特に広葉樹林)とすることが望ましい。広葉樹林の方が、スギ・ヒノキなどの針葉樹林よりも治水機能(土壌浸透能および貯水力)に優れている・・・。
記念講演は、実原進さん(広島県上下町)の「人に優しい町づくり」でした。上下町では、ゴルフ場を撤退させた後、町民自身が楽しむためのレジャー施設を作ったりしています。
例えば、ゴルフ場に反対する仲間たちで、”ナバランド”という「きのこの国」を作り、しいたけを育てて得たお金でログハウスを建てています。
地域活性化のため大変参考になる試みです。なお、翌1994年の環瀬戸内海会議は、上下町で実施することになりました。
1993年年表
-1月25日(月)、中根周歩さん(広島大学教授)講演会
「ゴルフ場が自然環境と市民に与える影響について」
主催/福田・馬木のゴルフ場建設問題を考える会
(福田公民館、広島市東区福田)
-2月7日(日)、森と水と土を考える会総会
-2月10日(水)、広島県ゴルフ場問題連絡会
-2月14日(日)、美土里町トラスト開始
-2月25日(木)、公文書公開公聴会
-2月28日(日)、田島征三・小室等ジョイントトーク
主催/クラムボンひろしま(カトリック観音町教会、広島市西区観音町)
-3月15日(月)、南修治コンサート
主催/森水の会、のら屋(のら屋、広島市西区天満町)
-4月23日(金)、広島県ゴルフ場問題連絡会、広島県との交渉
-4月25日(日)、広島県ゴルフ場問題連絡会総会、広島県下16団体27名参加
(三原市福祉会館、広島県三原市城町)
-4月29日(木)、縁農(広島県東広島市、加藤農場)
畑の草取り、タケノコ掘り(”百姓や”さんの企画に相乗り)
-5月15~16日(土・日)、環瀬戸内海会議三周年記念大会(大分県・国東半島)
記念講演「人に優しい町づくり」実原進さん(広島県上下町)
-5月16日(日)、向原とうふ亭三浦、大豆植付け参加、主催/百姓や
-5月23日(土)、縁農(広島県口和町、橋岡農場)田植え、主催/百姓や
-5月24日(月)、広島県森林保全課への協力要請
冠山・小川林道を歩く会(5/30)について
-5月30日(日)、新緑の中を歩こう会
吉和冠山・小川林道(吉和冠山北北東側の小川川沿い)
-6月20日(日)、和紙をすいてみませんか(大竹手すき和紙の里)
-7月4日(日)、縁農(広島県口和町、橋岡農場)田の草取り、主催/百姓や
-9月4~5日(土・日)、継承の森構想実現に向けて、五里山系偵察ヤブ漕ぎ
-9月11~12日(土・日)、環瀬戸内海会議(香川県直島)
-9月23日(木)、継承の森構想(具体的な場所、方法について)、西山林業組合さんからレクチャー(広島県吉和村)
-9月26日(日)、縁農(向原町)稲刈りその他、主催/百姓や
-9月26日(日)、人と樹セミナー(第11回)、枯損木の処理(広島県大竹市)
原戸会長「継承の森」構想についてアピール、主催/人と樹セミナー
-10月3日(日)、縁農(広島県口和町、橋岡農場)稲刈り(手で刈り取り)、主催/百姓や
-10月3日(日)、学習会「電磁波ってなに?」、講師/馬場浩太会員
(竹屋公民館、広島市中区宝町)
-10月10日(日)、十方林道でドングリ拾い(ブナの森づくり実践スタート)
-10月17日(日)、種拾い
-11月7日(日)、土・水・空気を生かしん祭
-11月7~8日(日・月)、「企業に対する環境行動ネットワーク」結成集会
原戸祥次郎会長が8日の抗議行動や環境庁での署名提出および交渉に参加
(国民生活センター、東京都品川区)
-11月10日(水)、名称「西中国山地ブナの森づくり」と決定
-11月20~21日(土・日)、ブナの森づくり始まる
20日畝作り、21日種まき
-11月23~26日(火~金)、美術展「Save Our Green Earth」
見捨てられたモノをアートする(天満屋8階催物会場、広島市中区胡町)
-12月4~5日(土・日)、リゾート・ゴルフ場問題全国交流会(第10回)
世界一過密の千葉県市原市から、講演講師/湯浅一郎さん(通産省呉工業技術院)、青木敬介さん(播磨灘を守る会主宰)、主催/リゾート・ゴルフ場問題全国連絡会
-12月10日(金)、ドキュメンタリー映画「水からの速達」無料試写会
(広島YMCA地下「作法室」、広島市中区八丁堀)
-12月19日(日)、例会・事務所掃除・忘年会