2013年11月10日

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ひろしま百山(私の踏み跡) >> 宮島弥山・岩船岳

『ちゅうごく山歩き vol.1』中国新聞社(2013年6月刊)を読む

2013年11月10日(日)、番外編

以下に関する私なりの考え方及び参考資料は、別ページ「安芸の宮島を歩く」からどうぞよろしくお願いいたします。

弥山の登山道は三本のみ

何気なく立ち寄った近くの本屋で、中国新聞社発行の最新版ガイド本が平積みになっているのを見つけた。前から気になっていた本である。ページをめくってみて、6ページ目に「弥山・駒ヶ林」の項があることに気がついた。松島宏著『ちゅうごく山歩き vol.1』(中国新聞社、2013年6月刊)

そこには、「(弥山の)登山ルートは5本ある」と書かれている。しかしながら、行政の正式見解では、弥山登山道は3本のみ、すなわち紅葉谷コース、大聖院コース、そして大元コース(3本とも広島県が管理)とされている。これがいわゆる「公式コース」(中国新聞記事でよく使われる表現)で、いずれも谷沿いの石段が多い参道である。

そのほかの踏み跡については、宮島国有林(宮島の大半を森林が覆っており、そのほとんどが国有林)を管理するための管理道(歩道)であり、登山道としては整備されていない、というのが行政の立場である。そしてこれらが一括して、いわゆる「非公式コース」とされている。

もちろん、一般登山者が、ただ単なる森林レクリエーションを目的として、国有林内に入林(入山)する場合には、自己の責任において、登山道であろうと歩道であろうと自由に歩くことができることは言うまでもない。したがって、登山道であるか歩道であるかは、山歩きをする上では本質的には何ら問題とはならない。

非公式コースに関する記述は、削除してほしい(関係当局からの要請 )

ところが以前、弥山直登尾根上で起きた四宮コース赤塗料吹き付け事件(2008年7月)を受けて、「非公式のコースが登山ガイドや民間パンフレットに掲載されている状況を踏まえ、増刷や再版時に削除してもらうよう出版社などに要請していく」方針が、関係当局によって示されたことがある。(中国新聞記事、2008年10月9日付)

注:この時の関係当局とは、県と市の教育委員会、農林、観光などの関係部署と環境省の17人

さて、本書添付の地図を見ると、7本のコースが記載されている。

  • 博打尾コース(包ヶ浦自然歩道~かや谷コース)
  • 紅葉谷コース
  • 弥山直登尾根コース(四宮コース)、コース名記載無し
  • 大聖院コース
  • 駒ヶ林尾根コース(多宝塔コース)
  • 大元コース(大元谷右岸コース)
  • 大元谷左岸コース、コース名記載無し

このうち、弥山登山道は、紅葉谷コース、大聖院コース、そして大元コースの三本のみである(既述のとおり)。本文では、これら三本に加えて、博打尾コースと多宝塔コースの説明がなされている。その他二本は、地図上にコース名の記載はない(本文の記載も無し)。

弥山原始林の中には歩道は存在しない?

なお、弥山直登尾根や駒ヶ林尾根は弥山原始林の中にある。その弥山原始林は、世界文化遺産「厳島神社」の構成資産の一部を成している。

したがって、世界文化遺産「厳島神社」の範囲は、大鳥居のある神社前面の海から、弥山山頂部にまで及んでいる。そしてそこは、林野庁(広島森林管理署)の所管ではなく、文化庁の管轄のようである。

ちなみに、広島森林管理署発行の国有林野施業実施計画図(2008年度策定)には、上記二本の尾根上に管理道(歩道)の記載はない。(弥山登山道三本は記載されている)

とは言うものの、本書本項末尾の文章、「私のお薦めは紅葉谷から博打尾コースで弥山に登り、駒ヶ林から多宝塔コースを下山するコースだ」には私も全面的に賛成である。

私自身が最も好きなコースとぴったり一致するからである。石段のない自然道であり、展望が良く気持ちのいい山歩きができるコースである。(ただし、コース名の表示の仕方は異なっている)

しかし、これらのコースは、弥山原始林の真っただ中、あるいはその辺縁を行く踏み跡である。もしも、オーバーユースなどで原始林に悪影響を及ぼすという事態になれば、何らかの規制がかかるのはやむを得ないかもしれない。できる限りそうはならないでほしいものである。

関係者はどのように考えているのだろうか

本書の著者(広島登山研究所代表)は、広島県内の多くの山登り団体が加盟する広島県山岳連盟にも所属(同連盟理事)している。

発行所の中国新聞社は、最近もその記事(宮島奥の院遭難事件、2012年12月26日付)の中で、弥山登山道に関して、公式・非公式の別があるという書き方をしている。

本書の発行は、広島県内の指導的立場にある方と県内有数の新聞社がタイアップすることによって、公式・非公式の別なく宮島を楽しもうという意志を表したものであろうか。

これに対して、関係当局としては、いわゆる非公式コースに関する記述は「削除してもらうよう出版社などに要請していく」とした方針は撤回したと考えてよいのであろうか。

宮島の自然保護・保全及びその賢明な利用という観点から、本書の出版元である中国新聞社(及び著者)並びに行政当局がどのような考えを持ち、それをどのように周知徹底させて行こうとしているのか、今後の対応を見守りたい。

>雑記:
多宝塔コース、夕日観音堂、朝日観音堂あり、ただの踏み跡ではない
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