2008年11月02日

Akimasa Net >> 中国地方の山100選 >> 十方山

2008年11月02日(日)、森と水と土を考える会
吉和西~十方山林道~二軒小屋
秋の十方山林道ウォーキング
(出発吉和西、帰着二軒小屋)

http://hyakuzan.akimasa21.net/fwd3/20081102RND
(本ページの短縮URLです)

a:1667 t:1 y:0

はじめに

秋の十方山林道ウォーキング:
吉和西~押ヶ峠~七曲~山の神(祠)~カネヤン原~ワサビ田~下山橋~水越峠~二軒小屋
(出発:吉和西、帰着:二軒小屋)

今日のコースタイム

吉和西(29分)押ヶ峠(29分)2号橋(31分)山の神(祠)(43分)ワサビ田
 小計2時間20分(祠8分を加える)
ワサビ田(24分)下山橋(29分)9号橋(10分)水越峠(7分)シシガ谷登山口(29分)二軒小屋
 小計1時間39分
総合計3時間59分(ワサビ田52分を除く)

吉和西10:03-押ヶ峠10:32-1号橋10:50-2号橋11:01ー山の神(祠)11:32、11:40-754m11:54-786m12:07-ワサビ田12:23、13:15-下山橋13:39-9号橋14:08-水越峠14:18- シシガ谷登山口14:25-二軒小屋14:54

森と水と土を考える会の「細見谷と十方山林道」

「森と水と土を考える会」公募の林道ウォーキングの季節がやってきました。今回の企画は、未舗装の十方山林道を端から端(吉和西~二軒小屋)まで約15km歩き通そうというものです。私も主催者側のメンバーとして参加しました。

既存の十方山林道は、広島・島根県境尾根のこちら側にある細見谷(細見谷川)に沿って造られています。この「細見谷と十方山林道」は、大規模林道問題(細見谷林道問題)の舞台となっている場所です。そこでは、既存未舗装(車道幅員3~4m)の十方山林道を拡幅舗装化(一部新設)して、大規模林道(旧・緑資源幹線林道)に組み込もうという工事計画が進んでいます。

「森と水と土を考える会」では、会発足当初から大規模林道問題に取り組んでいます。一般公募による林道ウォーキングは、その一環として初期のころから継続して行っているものであり、最近では、毎年春(新緑)と秋(紅葉)の2回実施しています。

この秋は、より多くの人に、西中国山地に残された最後の秘境であり日本の宝とまでいわれる細見谷の秋を楽しんでいただくことにしました。皆さんと一緒に歩きながら考えてみたかったのです。細見谷のすばらしさ、そして未舗装の十方山林道そのものの価値について。

吉和西(十方山林道入口)

今回の定員は40人(マイクロバス2台)であり、久しぶりの大型公募となりました。朝8時、広島駅新幹線口近くに集合、マイクロバス2台と乗用車(伴走車)1台にて出発。西風新都経由で高速にのり、吉和インターを出て、林道大向長者原線経由で国道488号接続点まで行きます。

バスを降り、国号488号を益田方面に少し歩くと、正面に十方山林道(吉和西側入口)が見えてきます。林道入口で簡単な体操をして歩き始めます。私が先導役です。

林道入口からしばらく歩くと、道は右にカーブしており、そこから約100m程度がすでに拡幅舗装化(平成18年度)されています。その部分では、1メートル程幅員を広げたため法面が大きく削り取られています。参加者から、ほんとうに大丈夫か(崩れたりしないか)と疑問の声があがります。なお、ここは入口からはほとんど見えない位置になります。林道入口からではなくて、どうしてここから工事を始めたのかは分かりません。

大規模林道工事は、まだ止まった訳ではない

大規模林道工事は、これだけで止まった(ストップした)訳ではありません。確かに、大規模林道の工事主体であった独立行政法人「緑資源機構」は、官製談合事件で逮捕者や自殺者を出し、2008年(平成20)4月1日をもって組織は廃止されました。それに伴い、緑資源幹線林道事業は平成19年度をもって廃止となりました。

ところが、その林道事業は、新たに国の「山のみち地域づくり交付金」事業として、地方公共団体を実施主体とする事業へと移行されることになったのです。そして、事業を継続するかどうかは各道県の判断にゆだねられています。

広島県の判断は、今年(2008年)9月末に示される予定になっていました。しかし、中国新聞記事(2008年9月27日付)によれば、その結論は来年2 月ころまで先延ばしされたようです。理由はよく分かりません。同記事は「冨永嘉文農林水産局長が・・・・・市町からの継続要望や厳しい財政状況を踏まえ来年二月ごろに判断する方針を示した」と伝えるのみです。

県において真剣な検討は続けられているのでしょうか。今日の参加者の多くの意見は、工事のための工事が行われ、あとに残るのは環境破壊だけというのではたまったものではない、というものでした。

なお、緑資源機構で実施していた事業の多く(緑資源幹線林道事業以外)は、独立行政法人森林総合研究所(森林農地整備センター)に承継されています。

押ヶ峠~七曲~山の神(祠)

押ヶ峠を越えて、いよいよ細見谷に入ります。ここから(水越峠付近まで)すべて国有林です。そして、ここの国有林では大きな施業計画は何もありません。だから、ここでは大規模な林道は必要ないのです。参加者からも、改めて林道工事反対の声があがります。

やがて七曲にかかり、林道は谷(スキヤドウ)を行ったり来たりしながら、曲がりくねって下ります。昔の作業車輌の登攀能力に合わせた勾配になっているということですが、「ゆるみ」状態にある地盤をたくみにぬって造ってあるという専門家の意見を聞いたことがあります。昔の工事関係者の見識がうかがわれます。

七曲を下りきった山の神(祠)で小休止です。先頭に続いて後続組も続々と到着します。たいした遅れもなく安心しました。実は、七曲にさしかかるころ、先頭のスピードを少しあげました。もっとゆったり行きたかったのですが、そうすると後ろの方がどんどん遅れ気味になってしまいます。

約40人がまとまって一緒に行動するのはちょっとむつかしそうです。本来ならば2~4班に分けて、それぞれリーダーをつけるべきでしょう。かといって、それだけの人数を会員の中からそろえることもむつかしそうです。年とともに体力が落ちてきて、 15kmを通して歩ける人も少なくなっているのが現状です。

山の神(祠)のすぐ下を細見谷川が流れています。左手前方は、細見谷上流部(渓畔林部分)、右手前方は、細見谷下流部(細見谷渓谷-日本百名谷の一つ)です。細見谷渓畔林は、細見谷川両側部分の幅100~200mくらいしか残っていないとはいえ、山の神(祠)から見る細見谷は、スギ・ヒノキの植林帯の中に少しずつ広葉樹が広がっているようです。細見谷にクマのサンクチュアリ(聖域)を作ることは不可能なことではないでしょう。

山の神(祠)~カネヤン原~ワサビ田

山の神(祠)からカネヤン原を通り過ぎ、いよいよ細見谷渓畔林へ入って行きます。樹冠が林道(幅員3m)上部をおおい日の光がさえぎられています。そして、林道上には相変わらず水溜りができています。また、石ころだらけの道は決して歩きやすいとは言えません。

私はここが好きだという参加者の方がいらっしゃいました。車で幾度か通り、歩いてみたかったのだそうです。約15km続く未舗装の十方山林道(地道)は、それだけで価値のあるものだと言えます。

小・中学生あるいは高校生に歩いてもらう訳にはいかないのでしょうか。ただ歩くだけ(運動するだけ)でも価値はあるでしょう。その上に、動植物や地学の勉強を楽しむことができれば、日本の将来をしょって立つ人物が育つことでしょう。

ワサビ田の河原で昼食です。この場所は、種々の媒体で写真が紹介されています。川面をおおう大木の葉も紅葉してきれいに見えます。参加者の方々にも満足してもらえているようです。でも何だかおかしい。あざやかな緑が混ざっているようにも思えるのです。葉っぱが紅葉して落ちるのではなく、枯れて茶色になって落ちているのでしょうか。

世界各地の森林が痛んでいるそうです。酸性雨も原因の一つに数えられています。細見谷の場合も、周辺国の影響を受けている可能性がありそうです。今や環境問題は、一国だけの問題として解決することはできない規模になっています。

ワサビ田~下山橋~水越峠~二軒小屋

昼食後、ワサビ田~下山橋から、水越峠を越えて二軒小屋まで歩きました。二軒小屋側では、約300mくらい拡幅舗装化工事が終わっています。その二軒小屋には、駐車場そばに「林道大朝鹿野線終点幅員7.0m」という標識があります。

この標識は、戸河内~吉和区間の中の、1)城根~二軒小屋工事区間(完成済)と、2)二軒小屋~吉和西工事区間(十方山林道部分)との接点にあります。そして、ここで幅員7.0mとあるのは、大規模林道の一般的な幅員です。

その幅員は、十方山林道を大規模林道化するについては、7mから5m以下に押さえられています。特に、渓畔林部分は原則拡幅せず(3mのまま)となっています。

これらの結論が出された各種検討委員会等の開催にあたって、「森と水と土を考える会」の活動は少なからず影響力を与えたといえます。特に21世紀になってからの各種調査、その中でも植物に関するそれには特筆すべきものがあります。十方山周辺の植物リストは、会が存続する限り、今後とも成長し続けていくことでしょう。

今日は、植物関連では会所属の最強のメンバーを揃えることができました。また、その他全般に渡って、参加者の方々にもきっと満足していただけたものと信じています。

やるっきゃない「20周年誌」

「森と水と土を考える会」(1990年5月発足)は、あと1年半で会発足20周年を迎えます。ここでその足跡を残しておかない手はありません。記憶はいつか消え去ってしまいます。記録に残してこそ、次のステップ(細見谷をいかに保全するか)も踏むことができるというものでしょう。

-完-

ワサビ田:
対岸を見ると、河原の石を並べたスロープが作られている
ブルドーザーを使って無許可で作ったとして問題になっている
そのスロープへ、川の流れが当っている
川の流量が増えてくると、そこに当る水の量も増えてきて、濁り水となるだろう

9号橋(小型サンショウウオ観察地点):
雪虫が舞う、暖冬とはいえ冬は確実に近づいているようだ
休憩を取るものの、トップグループはもう出発の態勢、最後まで元気がよい